『ごめんね青春!』観ました。
宮藤官九郎さん脚本作品で、2014年に制作されたドラマです。
全10話の学園モノで、錦戸亮さん演じる先生が、ときおり良いことを語ります。
平均視聴率7.7%と、TBSの日曜劇場史上最低の記録だそうです。
が、今こそ、観ておもしろいドラマかもしれません。
NHK朝ドラ出演者が目白押し
主演の錦戸亮さん、ヒロインの満島ひかりさんの演技は、「さすが」の一言なのですが、主演者が豪華です。
豪華といっても、当時は若手のかけだし扱いだったと思いますが、生徒役の出演者がNHK朝ドラ出演者揃い、といっても良いくらいです。
『とと姉ちゃん』『カムカムエヴリバディ』の川栄李奈さん、『ちむどんどん』の黒島結菜さん、『ひよっこ』『ちむどんどん』の竜星涼さん、『花子とアン』『半分、青い。』の矢本悠馬さん、『半分、青い。』の小関裕太さん、『あさが来た』の波瑠さん、『おひさま』『べっぴんさん』の永山絢斗さんなどなど、今では主演、準主演クラスがぞろぞろ。
NHK朝ドラに出演はしていませんが、森川葵さん、白洲迅さんも出演しています。
いまではドラマを牽引するような役者さんが勢ぞろいしているのです。
なかでも驚いたのは、生徒その他大勢のひとりだった笠松将さんでしょう。
第1話からほぼ登場しているらしいのですが、「笠松将さんだ!」と出演が確認できたのは後半になってのこと。
気になる方は、笠松将さんを探してみてください。
男子校と女子校の断絶
物語は、隣り合う仏教系男子校とカトリック系女子校の断絶からはじまります。
その断絶は、実は過去の事件が原因であり、それがなければお互いに距離を置くような関係にはならなかった、という背景があります。
また、男子校・女子校の共学化、合併をテーマに描いていることも、興味深い点です。
私自身、女子校出身なのでわかる部分も多く、宮藤官九郎さんが女子校出身者に取材して描き出していることがよくわかります。
そして、男子校・女子校から、男女共学へと進化するためには、どんなことが必要で、何を考えなければならないのか、男女が平等であるということについて、錦戸亮さん演じる国語教師が語ります。
いま観ても古くない、むしろ今も求められている答えがあると感じました。
「犯人は自分」という後ろめたさ
錦戸亮さん演じる国語教師・原平助は、亡くなった母と会話します。
この母との会話が、後ろめたさの現れである、と仏姿の母は言います。
自分が、高校生のころに起こした事件がきっかけで関係が悪化してしまった高校を共学にする、と心に決めて教師となった原平助。
だからこそ、やや暑苦しいまでに行動します。
この暑苦しさが、生徒たちの心を溶かし、両校の教師感の不信感を溶かしていくのですが、このあたりは現実感が薄いかな、と思います。
が、物語の進行上、仕方のないこと。
原平助の言動に違和感をもってしまうと、ドラマを見続けるのは、ちょっとつらいかもしれません。
性的マイノリティと老人
宮藤官九郎さんの作品には、必ずと言って良いほど、性的マイノリティの人物、そして老人が登場して、物語に不可欠なエピソードを形作っています。
『ごめんね青春!』のまえに、2009年の宮藤官九郎さん脚本の映画『なくもんか』を観たのですが、主人公の笑顔しかない男は、自分の心を切り替えるために、女装したバーのママになるのです。
『ごめんね青春!』では、小関裕太さんが、トランスジェンダー役を演じ、親と子の葛藤を描き出しました。
女子校の制服姿の小関裕太さんが、とても可愛らしくて、印象に残ります。
老人、シニア層が活躍するのも、宮藤官九郎さんの作品では多いのではないでしょうか。
登場人物の年齢幅が広い、と言い換えても良いかもしれません。
学園モノだと、校長先生役がシニア層に当たるかもしれませんが、『ごめんね青春!』には原平助の父の風間杜夫さん、事件の影響を受けた波瑠さんの父・平田満さんが、子どもたちにときに重要なメッセージを与えるのです。
芸達者な俳優さんと、若手俳優の競演ともいえる作品なので、ドラマ好きにはおすすめです。
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