ハリウッドでの映画化が決定したというので手に取ったコミック「6000 ロクセン
私の好きな深海で、どんどん人が死んでいく、というサスペンスホラーコミックです。
6000 ロクセン (4) (バーズコミックス) | ||||
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ハリウッドで映画化したいと思いたくなるような設定が満載です。
1.まずは深海。
究極の密室です。宇宙と同じくらい、何かの装置がなければ、人間が生命を維持するのが難しい環境であること。
そして、深海は今、世界的にアツいんです。
高井 研 著「微生物ハンター、深海を行く」
2.そして中国。
ハリウッド映画は、ある意味、米国の政治動向なども表現している部分があるので。深海にある基地の管理会社である中国企業が、その基地のオーナーである日本企業に内緒でってあたりが、映画製作者の心を射止めたのかもしれないですね。
3.基地がテラリウム。
深海で、大勢の人間が生活できるような環境を作っているので、地球環境に似せた構造物という設定になっています。これも、映画化したときに、作りこみのしがいがあります。
4.深海までのエレベーター。
これは宇宙エレベーターとは逆の発想ですが、海のなかの6000メートルのエレベーターというところが、科学的にも新しい技術の話なんかが盛り込めて、深みが増します。5.究極の密室で人がどんどん死んでいくという謎。
これぞ、王道中の王道のミステリーです。ただ、これをどう味付けするかで、映画の魅力が半減するような気がしました。
ここからはネタバレになっちゃいますが、本書の中では、究極の密室での食料不足もあり、人が人を喰うという狂気と、そこに得体の知れない神が登場してしまうというホラー要素も含まれているのです。
なんかね、そういう気はしたんですよ、最初に手に取ったときから。
今から40年くらい前になりますが、「アンデスの聖餐」というノンフィクションがありました。たぶん映画化もされたと記憶しています。
これは、冬のアンデス山中に飛行機が墜落。
長い間、救助隊が行けなかったのですが、16人もの生存者がいました。
なぜ?
墜落時に亡くなった人たちの肉を食べて、彼らは生き残ったのです。
たしか、食べずに死ぬのを待つのは自殺である、自殺は神(聖書)の教えに逆らうことになる、だから人肉を食べて生き延びよう、ということだったと思います。
細かいところまではよく覚えていませんが、当時、大変な話題になったので、記憶に残っています。
ハリウッド的にキリスト教世界に問うとしたら(制作する人たちはキリスト教世界の方々なので)、ホラー要素は取り除いて、かつてあった実話「アンデスの聖餐」を再構築するんじゃないかな~、と思いました。
結局のことろ、科学の発達とともに、人類は、人間が生きていけない場所にどんどん出かけて行っているわけですが、その生命線を絶たれたとき、人間はどうなるのか、というシミュレーションの一つが本書でもあるわけです。
より現実的な目でみたら、やっぱり「アンデスの聖餐」は起こる可能性が非常に高い、という結論にたどり着くのではないでしょうか。
映画化の前に絶対読んでほしいコミックでした。
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