『ミステリと言う勿れ』劇場版です。
初日の初回を観に行ったのですが、傑作の呼び声高い『キングダム 運命の炎』の初日・初回より、人が入ってました。
これは、興行成績かなり良い感じです。
『犬神家の一族』というより『八つ墓村』
『ミステリと言う勿れ』劇場版のセールストークのなかに、横溝正史の代表作『犬神家の一族』が登場します。
実際、劇場版のなかで、久能整が「犬神家の一族!?」と言います。
はじめこそ、『犬神家の一族』っぽく進行するのですが、じつは『八つ墓村』的な展開となっていきます。
『犬神家の一族』は、財産争いのために家族が殺し合う、という内容となっています。
いっぽうの『八つ墓村』も、財産争いではあるのですが、こちらは血筋がテーマになっています。
『ミステリと言う勿れ』劇場版は、『八つ墓村』同様、血筋によって殺人事件が起こる、という内容です。
血筋といっても、家を乗っ取るというもので、戦争とか災害とか、戸籍が消失するような事態に陥るような環境では、実際に戸籍を乗っ取ることなど簡単だと思います。
過去のミステリー作品でも、戦争のどさくさに他人になりすますとか、災害で戸籍が失われたことを利用して他人になりすますといった物語は、多数存在します。
そういう意味では、よくあるミステリ作品のひとつ、と言えるかもしれません。
既存の価値観を覆す久能整くん
劇場版でも、久能整くんが、自分勝手な男性価値観を論破してます。
女性や子どもなど、社会のなかで弱者と呼ばれる人々の目線で、正論をぶちかますあたり、「うんうん、その通り」と気分がすっとします。
この作品の人気の理由が、久能整くんの、「現実を斜めにみた正論」にあるのは、誰もが認めるところでしょう。
とはいえ、久能整くん自身は、他人の家の風呂に入れないとか、洗濯は自分でやらないと気がすまないとか、潔癖症なのか、それとも過剰な心配性なのか。
でも、他人の家の風呂でものびのび入れる人って、どんな人?とか思っちゃいます。
食事ですら、できれば辞退したいと思う、わたしのような人間には、久能整くんの気持ちがよくわかります。
「できれば避けたい」けど、一般的な社会通念では、ありがたく受け取ったほうが良い好意、というものが存在しますよね。
近頃は、ハラスメントの範囲もひろがり、理解もされてきていますから、無理強いするような人は少なくなっているのですが、やはり、好意の押し売りをしがちな人って存在します。
そういうのが苦手な人も、実は久能整くんのファンなのかも。
ドラマ版観てなくても十分楽しめます
『ミステリと言う勿れ』劇場版は、ドラマとのつながりはほとんどないので、ドラマ版を観ていなくても、誰もが楽しめる作品となっています。
誰が犯人なのか、ミステリが好きな人には、たぶん冒頭の遺言書開示シーンでわかってしまうかもしれませんが・・・。
そして、遺言書開示シーンの次にもヒントがあって、それは松下洸平さんが登場するシーンです。
このシーンで実行犯がバレます。
そういう展開ではありますが、細部まできっちりと作り込んでいるので、劇場に足を運ぶ価値があります。
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