レンタルで『線は、僕を描く』観ました。
砥上裕將さんの原作『線は、僕を描く』は、水墨画を通じて、社会との関わりを再構築していく大学生の物語で、穏やかな感動をもたらす作品だと思いました。
映画のほうは、原作が映像化しにくい部分が多いためか、余計な情報を追加してしまったかな、という印象です。
横浜流星さんなら原作通りに演じられたのでは?
原作小説『線は、僕を描く』は、両親を事故で失って閉じた世界にひきこもってしまった大学生が主人公です。
引きこもりがちな大学生なので、内面の描写が多く、水墨画と出会い、描くことにのめり込むなど、映像的なシーンがなかなか思い出せません。
画題として書いている植物の映像が、記憶として残っているくらいです。
映画では、原作のなかの映像シーンをうまく構成していますが、主人公の内面まで描かれているとは言い難いかな、と感じました。
むしろ、清原果耶さん演じる、巨匠の孫娘のほうが、映画ではよく描かれていたように思います。
横浜流星さんの実力なら、原作に忠実な映画となっても、十分演じられたと思います。
前を向いて歩く
映画では、家族を災害で失う設定となっており、水で押し流された実家のあったあたりを歩くシーンがあります。
東日本大震災で、津波が襲ったあとのような光景を描いているので、わかりやすいといえばわかりやすいのですが、「これって必要?」と思ってしまいました。
原作をむりやり映像化したことで、本来の良さが損なわれているような気がします。
ただ、前を向いて歩くという主人公の姿を描くために、必要だったのかな~?
原作小説『線は、僕を描く』の読後感がすごく良かっただけに、映画は少し残念な作品になっていると思いました。
無料配信なら、観ても良いかもです。
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