アメリカに移民した韓国人一家の生活をえがいた『ミナリ』 を観ました。
タイトルのミナリとは、植物のセリのことで、韓国の食卓では常備されている重要な野菜の一つです。
そのセリを、母国から母親をアメリカに呼び寄せた際に、その母親が種を持ち込み、水辺に蒔くのです。
アメリカに渡った韓国人一家のホームドラマであり、1980年代あたりの時代だと思います。
アメリカで高い評価を受ける
『ミナリ』 は、サンダンス映画祭、ボストン映画批評家協会賞、ロサンゼルス映画批評家協会賞、シカゴ映画批評家協会賞、フロリダ映画批評家協会賞、オクラホマ映画批評家協会賞、ゴッサム・インディペンデント映画賞、サンフランシスコ映画批評家協会賞、オンライン映画批評家協会賞、ニューヨーク映画批評家オンライン賞、ユタ映画批評家協会賞、クリティクス・チョイス・アワード、アカデミー賞などなど、多数の賞を受賞しています。
なんだかたくさんの賞を受賞した映画だと思って観ていたのですが、どこがアメリカ人の心をうったのか、ちょっとわかりませんでした。
映画としてはおもしろいと思いました。
アジア系移民の困難、アメリカンドリームというマジックなど、移民一世と二世の感覚の違いなど、興味深いと感じます。
が、しかし、これは本当に作品への評価なのでしょうか?
『ミナリ』 は、2020年2月のサンダンス映画祭を皮切りに、2021年4月のアカデミー賞まで、1年以上をかけて賞レースを駆け抜けています。
さらに気になるのは、批評家協会賞があまりに多いこと。
これって、なんらかの意図が働いているんじゃないか?と思ってしまいます。
そもそも、ハリウッド映画はプロパガンダなので、世界中にアメリカを売り込むための広告宣伝の役割が大きいです。
『ミナリ』 は、『パラサイト 半地下の家族』が公開直後から話題になり、アカデミー賞を受賞したこととな一線を画しているように思います。
それとも、移民大国のアメリカ人にしかわからない何かが、作品に隠されているのでしょうか?
大事件はおこらないけど・・・
『ミナリ』 は、最初に書いた通り、アメリカに移民した家庭を画いた映画なので、ホームドラマです。
ホームドラマには、何らかの危機がつきものですが、『ミナリ』の場合は、子どもが先天性の心臓病であること、借金しても夢を語る夫に愛想がつきかけてる妻、そして妻の母親が家族として増えたことでしょうか。
そして、妻の母親が登場することで、家族関係に少しずつ変化が訪れます。
ところが、この妻の母親が脳梗塞で倒れて身体が不自由になり、一家の構える農場で倉庫が全焼してしまいます。
こんなことが起こったら、日本のドラマなら、母親に対してなじる場面が登場しそうなものですが、『ミナリ』ではそうはなりません。
むしろ、最悪の状態を乗り越え、農場の取引先も決まり、軌道に乗りかけるところで物語は終わります。
そして、水辺に植えたセリが、夫のビジネスを支える柱に育ちそうな予感も与えてくれます。
何度も観たくなるような映画ではありませんが、韓国人移民の実感がこもっているようには感じました。
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