【Netflix】『13の理由 シーズン1~4』

13の理由 シーズン1~4』観ました。

舞台はアメリカ、登場人物は高校生。

テーマは「いじめ」であったり、無関心であったり、孤独であったりします。

まだ未熟で、恋愛に振り回される感情などが、細やかに描かれています。

1話は60分前後、全49話で構成されています。

ながらで観ると、途中でわからなくなるので、じっくり観ることをおすすめします。




シーズン1:自殺した友だちからカセットテープが送られてくる

シーズン1は、事件編という位置づけになるのでしょうか。

転向してきて、親しい友人もいないハンナは、1年ほど後に自殺してしまいます。

その原因は、SNSでばらまかれた写真がきっかけであり、尻軽女と周囲から見られるようになります。

そもそも、自分と入れ替わるように転向していった女友達から、「あの男はやめろ」と言われた男とハンナは付き合おうとします。

また、ハンナは、少しだけ正義感が強く、少しだけ公平な人間であったために、周囲から浮いてしまいます。

自分だけを守る、利己的な行動が取れないために、周囲が望まない余計なことをしてしまうからです。

そのことも、ハンナを追い詰めることに。

さらに、ハンナは前の学校でも、同じような目にあっていたことがわかってきます。

両親は脱サラして商店を営み、日々の経営に四苦八苦しているため、ハンナの変化に気づけないまま、自殺したハンナを発見することに。

そのハンナから、ある日、カセットテープが送られてきたクレイは、ハンナに恋心をいだいているにも関わらず、上手にコミュニケーションを取ることが苦手というキャラクターです。

カセットテープは全部で13面あり、それぞれの面で、ひとりずつ、ハンナに対して何をしたかがハンナ自身によって語られていきます。

最後まで聞いていくにしたがって、徐々に精神を病んでいくクレイ。

しかし、最後には、クレイがやってくれます。

途中、日本だったらこうはならないだろうな、というところもありますが、かなり引き込まれる展開になっています。



シーズン2:裁判でハンナの裏側が見えてくる

シーズン2は裁判編であり、ハンナが告白する音声とは違うハンナが、裁判過程で明らかになってきます。

そのハンナは、クレイが知るハンナではなく、前の学校ではいじめる側であったことまでわかってしまいます。

この裁判編では、体育会系の一部の男子が、スクールカーストの頂点にたって、好き勝手している学校の実態も明らかになってきます。

体育会系男子がカーストの頂点にいる学校は、日本でも多いと思うのですが、高校生でも車で通学し、夜中まで外出可能で、ドラッグ、飲酒、銃とよりどりみどりに揃っているので、事件の背景が深くなっていきます。

また、このドラマの設定として、中流以上の家庭の子女が中心で、両親が揃っている家庭の子どもたちなので、日本の地方都市とよく似ています。

そのなかで、自分だけで問題解決を図ろうとする子どもと、子どものためならなんでもしてあげようとする親の間には、深い溝があることもわかってきます。

その溝は、実は愛情からできていて、子ども側の思いやりでもあるのですが、そのことが問題をさらに謎めいたものにしていることもわかってきます。

そして、ハンナのストーカーであったタイラーが、ついに銃乱射事件を起こしそうになるところで、シーズン2は終わります。

このまま『ボウリング・フォー・コロンバイン』となってしまうか?とおもっていたら、ちょっと違う展開に舵を切ります。




シーズン3:カースト頂点の殺害事件

カースト頂点に立っていたブライスは、ハンナ自殺裁判のあと、レイプ犯であることが知られ、転校することに。

しかし、転校先では、レイプ犯であることが知られ、逆にいじめの対象となり、友人たちも離れていきます。

シーズン3は、ブライスの態度に変化があらわれ、「あれ、こいつも不幸な生い立ちなのでは?」「心を入れ替えた?」という描き方がされています。

ブライスと対立する集団の面々には、ブライスを殺害する動機があり、アリバイもありません。

もっとも疑われるのがクレイで、そのクレイを護るために、対ブライス集団は、最後の最後に大きな嘘をつきます。

この嘘が、シーズン4に影響するのでしょうか。



シーズン4:罪悪感から壊れていくクレイ

大きな嘘をついたことで、主人公のクレイは壊れていきます。

また、同志であったはずの友人たちともギクシャクし、信頼感が損なわれていきます。

孤立し、猜疑心の固まりとなるクレイ。

いっぽう、子どもたちの嘘に気づき、対策しようとする大人たち。

隠しごとがあるなら、それを明らかにすれば良い、と考えた結果、監視カメラの導入、警察官の常駐、さらにはSNSやメールの監視まで行なうようになります。

そのことにイラ立ち、大人たちの態度にさらに不信感を強める子どもたち。

シーズン4は、壊れていくクレイと、子どもと大人の対立が描かれています。

しかし、最後の最後に、クレイはすべてを告白し、精神的にも立ち直っていきます。

そして、大人たちは、なんとなくすべてを知っていたかのように、子どもたちを見守っていることも、それとなく描かれています。

けっきょく、苦しむような嘘は告白してスッキリしたほうが良い、ということでしょうか。

ただ、日本で正直に告白したら、間違いなく逮捕されますが、このドラマでは、物わかりのよい保安官が、事件捜査を止めることを宣言します。

つまり、子どもたちの未来を信じる大人という図で、物語は終わります。

付け加えるとすれば、シーズン4はセクシャリティがサブテーマになっているようで、ゲイカップルがたくさん登場します。



問題行動を起こす生徒とアメリカの教育制度

13の理由 シーズン1~4』を観て感じたのは、問題行動を起こした生徒に対する教育が柔軟であること。

いじめを行ったり、他の生徒を先導して騒動を起こしたりするような生徒に対して、懲罰的にある種の授業をとるように強制したり、被害にあった生徒には心身のケアを手厚く行えるような制度になっていることです。

また、授業内容にも興味が惹かれました。

生徒が抱える内的問題を知るためだと思われますが、詩を書いたり、友だちに対してメッセージ(手紙)を送ったりする授業の様子は、学習優先の日本とは決定的に違うものです。

多国籍・多人種だからかもしれませんが、自分とは異なる価値観や考え方をする人が存在することについて、多面的に思考する訓練が高校のカリキュラムにあるようです。

日本でも積極的に取り入れられたら良いのに、と感じました。

また、対話を重んじる教育姿勢にも、日本との違いを感じます。

日本ではシステム思考なので、誰でも同じようにできる部品化、のための教育が行われるように常々感じています。

アメリカは、良くも悪くも個人を尊重する思考が優先されることも、このドラマを観ているとわかってきます。

教育に携わる方には、とても興味深いドラマシリーズではないでしょうか。


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