Netflixで『美しい彼』を観ました。
BLドラマはよく観ている方ですが、正直、ハマりました。
すでに3巡目に突入です。
2巡目おわりで、「これは原作を読まねば!」と思い、原作3冊セットを購入し、一日で読了しました。
12時間位かかってしまって、ちょっとしんどかったのですが、読み始めたらやめられなくなってしまって・・・。
ドラマもハマッたけど、原作にもハマりました。
スクールカースト最上位のキングと最下層透明人間の恋
ドラマ化されているのは、『美しい彼』3巻のうち、最初の1巻にあたる部分で、出会いから恋が成就するところまでです。
あとがきを読むと、作者の凪良ゆうさんがお好きな設定で書いたようですが、原作を読むと、かなり多くの人の心をつかむだろうと感じます。
その理由が、スクールカーストの最上位と、下僕の恋愛だから。
日本人で普通の小・中・高を経験した人なら、誰でも共感できる部分があり、誰でも自己嫌悪や罪悪感をかんじる部分があると思うからです。
『美しい彼』のおもしろさは、平良一成という下僕視点から始まりますが、清居奏というカースト最上位のキング視点の心情も、表裏で描かれていることでしょう。
それぞれの視点で描かれる高校生活や価値観のどこかに、ガチッとはまる自分自身の経験や感覚があるのです。
スクールカーストを主軸においたことが、広い共感を得られたことの要因のように思います。
ドラマのほうが洗練されている
そして、Netflixのドラマ『美しい彼』ですが、原作以上の出来だと思います。
原作のほうは、スクールカーストにおけるキングと下僕の関係を、詳しく、そして時系列的に正しく描き出そうとしているからか、若干の中だるみ感があります。
しかし、ドラマ版では、原作を凌駕するようなスピード感と勢いを感じます。
例えば、清居奏の発する「きも」「うざ」「ストーカー」という言葉は、原作のほうではそんなに頻発しておらず、ドラマ版のほうが印象的、そして効果的に使われています。
大学編で、二人が再会するシーンで、清居奏が平良一成に向かって「ストーカー」と開口一番放ちますが、これがとても良い演出になっています。
このシーンは、原作だと、インパクトが弱い。
ドラマ化されて良いな、面白いなとかんじる作品の多くが、原作を上回る構成力があると思います。
『美しい彼』の場合は、ドラマ版オリジナルのエピソードである、水を掛け合う二人のシーンや、自転車で二人乗りするシーンでしょう。
説明的にならず、映像で二人の関係の深まりを感じさせる、印象的なエピソードだと思います。
原作もぜひ読んで
『美しい彼』は、原作がとてもおもしろいです。
凪良ゆうさんとの出会いは、『流浪の月』が初めてなのですが、とても良かったので、普段は読まないBLにも手を出しました。
正直、濡れ場はどうでも良いので、その辺は飛ばし読みです。
2巻目では、キングに対する下僕・平良一成の思いが、なんというか、かなり突拍子もない、メルヘンなのか妄想なのかわからないことだ、とわかってきます。
そのあたりの説明が、キング・清居奏目線で語られていたり、下僕・平良一成目線で語られていたりするのですが、爆笑ものです。
第三者からみたら、まるでコントのようで、あちこち、吹き出すほど面白い。
当の本人にしてみれば、大問題であり、一大事なことであっても、それを表現する言葉が豊かで、楽しく読めてしまいます。
ドラマファンの方には、ぜひ原作をお読みになることをおすすめします。
原作を読むと、ドラマの良さが、もっと理解できると思われます。
そして、ただいま短編集の『interlude 美しい彼番外編集』を待っているところです。
映画化するなら、2巻でしょうね。
続編を楽しみに待っています。
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