映画『エゴイスト』をレンタルして、観ました。
鈴木亮平さん主演、宮沢氷魚さん、阿川佐和子さんが共演した映画です。
BLドラマや映画とは一線を画す作品
『エゴイスト』は、昨今流行りのBLドラマや映画とは、一線を画す作品です。
いまや若手俳優がブレイクするきっかけにもなるBLドラマ。
続編がスタートした『おっさんずラブ』『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』『美しい彼』など、ヒット作が次々と誕生しています。
これらのドラマが、コメディ要素がありながらも、ほのぼのした純愛を描いているのに対し、『エゴイスト』は、ある意味、ディープなLGBTQを描いていると思います。
毛色は少し違いますが、別れの切なさは映画『窮鼠はチーズの夢を見る』に通じるものがあるように感じました。
とはいえ、別れは別れでも、『エゴイスト』は永遠の別れを描いています。
そして、その原因は、もしかすると自分のエゴに起因しているかもしれない・・・。
そんな主人公の心の痛みが、さらなるエゴへと進化するのです。
前半は運命的な恋
映画の前半は、主人公が恋に落ち、新しい恋人との楽しい時間を描いています。
鈴木亮平さんと宮沢氷魚さんのセックスシーンは、リアルでありながら、互いに愛しいという気持ちを表現しているようです。
生活レベルがまったく異なる主人公と青年の恋は、主人公からのプレゼントがつきものの関係になっていきます。
そこから、金銭的な関係へと進んでいくわけですが、売り専の青年が「うまくできなくなった」ことを吐露したためです。
愛するひとができて、売りがうまくできなくなった青年を助けるために、主人公が申し出るのです。
青年は、肉体労働を長時間こなすようになり、主人公と会っているときも眠ってしまうほど、疲れていきます。
そして、ある日、突然死を迎えるのです。
後半は青年の母との関係へ
原作小説では、母を看取る主人公ですが、映画は入院した母を見舞うシーンで終わっています。
青年を金銭的に援助していたのは、母のためでもある、と説得してしまうのです。
そして、貯金も底をつきかけたころ、母はステージ4のがんと判明するのです。
主人公の気持ちをあらわすシーンとして、買い物が象徴として描き出されています。
母への手土産にナシを買おうとする主人公は、はじめに1個1000円の高級品を手に取ります。
ところが、自分自身の懐も怪しくなってきた主人公は、1個200円以下のナシに手を伸ばします。
しかし、やっぱり1個1000円のナシを買ってしまうのです。
青年の母へ尽くす気持ちがそうさせるのか、はたまた、母への見栄なのか?
どちらとも取れるようなシーンだと思いました。
原作の小説は、涙なくして読めない作品でしたが、映画のほうは、主人公の焦燥感のようなものを感じる作品です。
<関連の投稿>
コメント
コメントを投稿