Netflixで『あの子は貴族』を観ました。
Amazonだと有料配信になっています。
門脇麦さん、水原希子さん、高良健吾さんが主要な登場人物です。
慶応がモデル
原作小説を昨年の2月に読んでいます。
映画化される小説は、基本的に読むようにしているのですが、読んでわかったことは、慶応大学がモデルだということ。
幼稚舎から大学まである慶応は、幼稚舎出身の学生が、大学では我が物顔である、という事実というか経験を描いています。
この話は有名で、私自身、慶応大学出身の友人から多数の話を聞いています。
友人のなかには、幼稚舎出身、中等部出身もいますが、彼らは大学内の格差というか区別には無頓着です。
しかし、外部から大学に入った友人からは、ほぼ悪口を聞くことができます。
この手のエピソードは、たしか別の映画でも再現されていて、作品名が思い出せませんが、記憶にあります。
小説では、この手のエピソードが、しっかりと描かれているのですが、映画ではあっさりとしたエピソードに変わっています。
「階級によって生活空間が違う」
映画のなかで、こんなセリフが出てきます。
たしか「棲み分け」と言っていたような。
東京に住んでいるとよくわかりますが、たしかに「棲み分け」ができています。
渋谷区とか港区、目黒区など、高級住宅街があるエリアに住んだことがあるとわかりますが、確実に違う世界が、そこに広がっているエリアが存在します。
年々相続で、広い敷地のお屋敷は姿を消していますが、確実に残っているお屋敷があるのです。
門脇麦さんが生まれ育ったのは渋谷区松濤です。
ざっくりと説明すると、渋谷東急本店の向こう側が松濤です。
ここに住んでいるとしたら、渋谷駅前から新橋駅前行のバスにのって、幼稚舎に通っていたはずです。
東京に住んでいると感じる「棲み分け」の話も、映画ではさらっと流されています。
三角関係なのか、恋愛と結婚は別なのか
物語は、そんな階級社会・東京の結婚事情を描いています。
いまどき階級社会だなんて、と思うかもしれませんが、そういう社会があるのです。
はやく結婚したいためにお見合いを繰り返す門脇麦さんが、ある日、理想の男性ともいえる高良健吾さんに出会います。
見合いから結婚話へ、トントン拍子で話がまとまっていく中、水原希子さん演じる高良健吾さんのセフレの存在がわかります。
三角関係のドロドロ物語に発展するのかと期待して読んでいると、肩透かしを喰らいます。
映画でもあっさりと身を引く水原希子さん。
階級社会の慶応大学を知っているので、結婚と恋愛は別、と割り切っている高良健吾さんの考え方をよく理解しているからでしょう。
映画は小説から毒気を抜いた感じ
小説のほうも、淡々と階級の違う女性2人を描いているのですが、そこには毒があります。
貴族階級に属していれば属しているだけの毒があり、地方出身の労働者階級の女性には、実家と東京での生活の落差、毒があります。
印象的な演出だったのは、食事シーンです。
貴族階級の門脇麦さんの食事シーンは、静謐ともいうべき静かさであり、話題は家族や仕事関係。
いっぽうの労働者階級の水原希子さんの食事シーンでは、テレビの音が高く、粗野な印象の会話が続くのです。
年末に帰省した実家での食事シーンです。
水原希子さんは、貴族と労働者のどちらも知っている女性という設定なので、そういう環境に辟易としながら、これが現実と受け入れているかのようです。
映画『あの子は貴族』のなかで、このシーンだけが、小説だけではわからないシーンだったと思います。
<関連の投稿>
コメント
コメントを投稿