映画『ノイズ』を観ました。
コミック原作で、藤原竜也さんと松山ケンイチさんが『デスノート』以来の共演となることで話題になりました。
Amazon Primeで有料レンタルで観たのですが、満足できると思います。
高齢化する町を活性化する
『ノイズ』は、高齢化する町を活性化させるためのイチジク農園経営者が、人を殺してしまうことから始まります。
国からの補助金の見通しもついているのに、活性化の中心人物がいなくなるわけにはいきません。
物語は、この一点で、進行していきます。
ある意味、日本中のどこでも、こんな論理で不正や犯罪がもみ消されてしまう可能性があることを示唆しています。
おまけに、殺された被害者は、最低な殺人犯だった男なのです。
天秤にかけるまでもなく、全力でイチジク農園を守る方向に動いていきます。
親を失った子どもたち
この町の特性として、親を失った子どもたちを、町ぐるみで育てていることがあげられます。
映画の設定では、町は伊勢湾に浮かぶ島であり、海難事故で親を失った子どもたちが成長して、島の活性化を目指しています。
いいかえれば、育てられた子どもたちには、町の大人たちへの感謝とともに恩返しをしなければ、という義務感も生じています。
だからこそ、殺人そのものをもみ消そうという動機が生じやすいということでもあり、設定は納得できるものです。
かさぶたになる
この映画では、「かさぶた」という言葉が登場します。
傷ができたとき、傷をカバーするようにできる、あのかさぶたです。
法律を正しく運用するより、町の人々が生きやすいように解釈し、忖度する。
それが町をまもることになる、という理屈です。
その結果、幼なじみの警察官が、すべての罪をかぶって自殺してしまいます。
自殺の前に、壁や床、備品に血しぶきが飛んで汚してしまわないようにビニールをかけている姿が痛々しい。
しかし、この行為も、結局は無駄になります。
嫉妬がかさぶたをはぎとる
原作コミックを読んでいないので、どこがどう違うのかはわかりませんが、映画では、嫉妬によって、すべてが露見します。
それは裏切りなのかもしれませんが、見方がちがえば、正義を行ったとも言えてしまいます。
公開時にはあまり良い評価を得ていませんでしたが、わたしは十分に満足できる作品だと感じました。
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