映画『永遠に僕のもの』

映画『永遠に僕のもの』を観てきました。



19歳で、10人以上を射殺し、終身刑で今も収監されているカルロス・エディアルド・ロブレド・プッチのことを描いた映画です。

事件当時、あまりの美貌から「ブラック・エンジェル」「死の天使」と呼ばれたそうで、映画の原題は「El Angel」。

カルロス・エディアルド・ロブレド・プッチを演じた、ロレンソ・フェロ(Lorenzo Ferro)の存在無くしては、この映画は語れないと思います。





サイコパスとは?

カルロス・エディアルド・ロブレド・プッチは、どうみてもサイコパスだと感じました。

目的を遂行するためには、殺人もいとわず、仲間からも「射殺マニア」と呼ばれてしまいます。

しかし、自分がやりたいこと(強盗などの犯罪ですよ)、自分のやり方には固執する点は、サイコパスには当たらないかもしれませんが。

また、サイコパスは、顔のタテヨコ比では横幅の比率が高いのだそうです。

⇒ 【中野 信子】「サイコパス」

子どもっぽい顔つきもこれに当てはまるので、カルロス・エディアルド・ロブレド・プッチが「天使」と呼ばれたこともわかりますね。

映画の中では「プリンチペ(王子)」とも呼ばれていて、本当に顔がきれいなサイコパスだったんだろうな、と思いました。




同性愛

また、映画の根底には同性愛があります。

映画でまさか、おっさんの横チンを見ることになるとはーーーー!

なんですが、わざと交通事故を起こし、自分の相棒を死なせるくだりが『永遠に僕のもの』なんだろうと思いますが、サイコパスなので感情的にならず、淡々と実行します。

映画の中で、感情の動きが見られるシーンは、本当に少なくて。

ところが、宝石店に押し入ったときに、最後は殺してしまう相棒のラウルから「マリリン・モンローみたいだ」と言われてうれしかった記憶がプレイバックしたりします。


全体的に抑揚が少なくて、アメリカ映画を見慣れた人には、物足りないかもしれません。


朝日のあたる家

カルロス・エディアルド・ロブレド・プッチが、孤独を感じ、相棒のラウルを殺そうと決意するシーンだと思うのですが、ひとりで車を燃やすシーンで、アニマルズの『朝日のあたる家』のスペイン語版が流れます。



『朝日のあたる家』の歌詞は、けっこう救いようがないものです。

ギャンブル狂の父、それを裁縫で支える母。

その母が、息子に向かって罪を犯すなと言い聞かせるというもので、カルロス・エディアルド・ロブレド・プッチに対する歌であるとも、または相棒のラウルの家庭環境とも言えそうです。


評価が分かれる映画

ハリウッド映画に馴染んだ人にとっては、抑揚が少なく、結末もはっきりしないのでモヤモヤした感じが残ると思います。

しかし、サイコパスだし、感情的にならないわけで・・・、と思って映画をみると、こういう終わり方も有りか、と思います。

なにより、カルロス・エディアルド・ロブレド・プッチを演じた、ロレンソ・フェロ(Lorenzo Ferro)のアップが魅力的な映画です。

1971年の設定とはいえ、タバコの吸いすぎなところが、むせそうですが、泥棒に入った家でダンスするシーンではじまり、警察に捕まる(であろう)ラストシーンでもダンスしていて、こういうあたりがヒッピーカルチャーの時代をあらわしているのかも、と感じました。

面川的には、もう一度見たい映画です。



<関連の投稿>
【中野 信子】「サイコパス」

コメント