日本の人口ピラミッドは棺桶型 社会構造的に若者に分が悪い

明日は補講なので、授業の準備をしなければ、と思いながらも、とりあえず書いておきたいことがあったので、書きますね。

最近、欧米で話題になっているのが、日本の人口ピラミッドです。

日本の人口ピラミッドは棺桶型 社会構造的に若者に分が悪い

2060年の人口ピラミッドは、棺桶型と呼ばれています。

国連の統計によると、日本の高齢者割合は最も高く、第2位のイタリアと比べても4ポイントを超える差(平成28年10月21日)があって、世界一の超高齢社会になっています。

「人口ピラミッド」から日本の未来が見えてくる!?
~高齢化と「団塊世代」、少子化と「団塊ジュニア」~
https://www.stat.go.jp/info/today/114.html





棺桶型の人口ピラミッドが教えてくれること

はじめに書いたように、日本の人口ピラミッドは、棺桶型といわれています。

棺桶といっても、日本のものではなく、ドラキュラが入っているような頭のほうが拡がっていて、足元にむかって狭くなっている西洋型の棺桶です。

もっとも、その棺桶型になるのは2060年の予測です。

国の発表では、2060年には人口は8,674万人にまで減少し、65歳以上が全人口の約40%となります。

この予測による人口ピラミッドが棺桶型といわれ、世界的に注目を集めているのです。

人口減少社会とか、少子高齢化とか、当たり前のように枕詞(まくらことば)として使われています。

でも、なんとなく実感がわきませんよね。


30歳未満人口は3000万人!?

現在時点で、30歳未満の人口は3000万人を超えるくらいのはずです。

なぜなら、1年間に生まれる赤ちゃんの数は100万人前後なので、これを30倍すれば良いからです。

日本の人口は1億3000万人弱ですから、30歳以上の日本人だけで1億人近くいることになります。

団塊の世代と呼ばれる70前後(2018年時点)の人々は、1歳で200万人以上生まれていますから、団塊の世代と呼ばれる1947年(昭和22年)~1949年(昭和24年)生まれの日本人は700万人近くいます。

生まれ年にはパワーがあります。

数という名のパワーです。


数のパワーが政策を決める

日本は民主主義の国なので、選挙によって物事が決まっていきます。

選挙とは、多数決という数のパワーがモノをいう世界です。

つまり、高齢者が多い国は高齢者に有利な選択がされていき、数の少ない若者世代には不利だということです。

最近やっと、若者世代に対するケア政策が出てきていますが、それまでは高齢者に有利な政策ばかりが通っていました。

選挙に必ず来てくれる高齢者は、政治家にとって大切なお客様です。

逆に若者世代は、選挙に関心が薄く、投票率が低い傾向にあります。

そもそも人口比で負けているのに、投票率が低かったら、さらに若者世代の意見は通りません。

団塊の世代が1歳で200万人に対し、若者世代の人口は1歳で100万人ですから、投票率では団塊の世代の倍以上にならなければ、若者世代にとって有利な政策は採用されません。


知識やアイデアに対する見返りが少ない社会構造

さらに問題なのは、社会全体が、努力の末にえられた知識やアイデアに対する見返りが少ない構造になっていることです。

なぜなら、日本の法律や制度をはじめ、さまざまな仕組みが、人口増加社会のころに形成されているためです。

人口増加社会とは、高齢者よりも若者世代が多い社会です。

働く世代である労働人口も多く、パソコンもインターネットもAI(人工知能)もない時代の日本です。

他の人とは違うやり方や考え方を排除し、平均的な労働者をならべて横一列になって進むような社会構造の中では、イノベーティブな才能や思考などは、序列を乱す異分子なのです。

日本の教育は、以前から、工場労働者を育成するようなシステムだといわれています。

今でも工場では、人がさまざまな場面で活躍していますが、決められたことを決められた通りに行うことで効率が良くなり、精度の高いモノを作ることができるようになります。

あなたが、ある工場の労働者だとして、ある日、作業の途中で突然手をとめて、「みんな、ここをこう変えたら、もっとかっこいいものができるんじゃないかな」と言い出したとしましょう。

あなた以外の労働者は、全員が怒り出すでしょう。

あなたが手をとめたことで、工場のラインが一斉に停止してしまったからです。

なかには、「あいつのおかげで休めるぞ」と考える人もいるかもしれませんが、自らの役割を放棄したように見えるあなたの行為は、周囲から非難されるでしょう。

たとえ、あなたのアイデアが工場の作業を減らし、従業員にとって利益になるとしてもです。

日本以外の国なら、もしかしたら、全員が手をとめて、あなたの話を聞いてくれるるかもしれませんが。


AIが工場を支配する

しかしその工場も、人間を排除してAIロボットが活躍する現場になろうとしています。

人間はひとりもいない、そんな労働の現場が増えてきているのです。

世界的に、求人があるのは低賃金のサービス業の分野に偏ってきているといわれています。

日本ならコンビニとか居酒屋とかの店員です。

そもそも、人間がいるからエラーが起こると考える人も少なくないため、できるだけ人間にはタッチさせないというプログラムが開発されています。

今後10年間で、人間がAIに仕事が奪われるようになるのは、間違いがない事実のようです。

<関連の投稿>
【スコット・ギャロウェイ】「the four GAFA 四騎士が創り変えた世界」
【新井 紀子】「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」
【ルトガー ・ブレグマン】「隷属なき道 AIとの競争に勝つベーシックインカムと一日三時間労働」

コメント