ど派手な演出を競い合った結婚式場「殿・閣・会館」。
最近ではホテルの結婚式が多く、「殿・閣・会館」での結婚式に出席することはほとんどなくなりましたが、つい最近、親の代理でいとこの長女の結婚式に出席し、「殿・閣・会館」の雄だった元・玉姫殿での結婚式に行ってまいりました。
「殿・閣・会館」とは、玉姫殿に代表される○○殿、平安閣・日本閣といった名称の△△閣、そして××会館など、名称の末尾をならべて総称したものです。
バブル時代にピークを迎え、結婚式での派手な演出で話題をさらいました。
たとえば、演歌歌手よろしく、スモークとスポットライトのなかに上からゴンドラで新郎新婦が登場したり、同じくスモークとスポットライトのなかにスーパーカーに乗った新郎新婦があらわれたり、一生に一度とばかりに派手派手な演出で、「殿・閣・会館」は競い合ったのです。
本物の大理石の壁や床 いまどきラグジュアリーホテルでも大理石の一枚板は見ません |
互助会にあぐらのずさんな経営
「殿・閣・会館」は互助会を基礎にして、結婚式をはじめとする冠婚葬祭を、会員に対して安価に提供しています、というか、そういうことになっていました。
この互助会は「割賦販売法」に基づき、経済産業大臣から厳しい審査のもと、営業許可番号を与えられた企業だけが行える事業。
さらに、業界全体で組織する役務保証機能制度に加盟しているので、互助会に万が一のことが起きてもご加入者の権利は保護されます。
互助会ドットコム
ところがこの互助会も、時代の趨勢には勝てず、経営破たん寸前というところが少なくないようです。
そのため、多くの「殿・閣・会館」は経営組織を分割したり、別会社に移行したり、合併したりということを繰り返しています。
それでも毎月の収入が見込めるためか、経営はどんぶり勘定みたいなところが多く、会員サービスも入会時期で異なるなど、見境がないのも事実なのです。
本格的なステンドグラスのチャペル |
結婚式の5日前に見積り額が決まる
ここからは新婦の父である従兄弟から聞いた話です。
会員サービスとして安くできるところは安くします、という触れ込みで最初の見積りが出ましたが、その後に衣装に付属物がオプションで追加されたり、テーブル費用が追加されたりと、見積額が100万円以上も増えたため、確認のために式場の営業担当者に面談。
ところが、削った費用の付け替えのように、明細が次々と変わっていくのだそうです。
結局、結婚式当日の5日前に正式な見積額が決定するという、ありえない展開になりました。
冠婚葬祭のなかでも衣装代に費用がかかる結婚式は、そもそも一度しか着ない衣装費用を安く、または共有することでタダにすることが互助会の目的のひとつ。
なので、結婚式のための衣装は原則無料でも良いはずなのですが、最初の見積もりには35万円と入っていて、これを営業担当がボールペンで消す、という具合らしいです。
その後、手書きで修正された見積書のまま時間が過ぎ、正式な見積を出させると金額が違う、ということの繰り返しでした。
まるで、安く思わせせるテクニックだけが発達してしまったみたいです。
テーブルクロスは高級レストランなみ 水滴はもちろん汚れも吸い取ってくれる本格派 毎回クリーニングが必要です |
互助会会員=囲い込まれている!
経営感覚がずさんなことはまだ続きます。
見積書に記載された営業担当者はすでにいないにもかかわらず、そのまま名前が残っているなど、見積書として世間一般で通じるものではなかったのです。
このような経営感覚の根源には「祝い事」「親が払う」という意識があります。
実際、従兄弟の長女の結婚式は、全額親負担。
新郎新婦が半分は払うということであれば、数か所から見積りをとり、比較検討するものです。
それをしないのは、互助会会員=囲い込まれている(安くなるという幻想)から。
親負担かどうかにかかわらず、よその見積もりをとるという行動にあらわれません。
出席者の満足度は高い。伝統的なレストランかホテルのような仕様
結婚式に参列する前に、こんなずさんな経営について聞いていたので、いったいどんな仕上がりになるのか興味深々だったのですが、出席者の多くは大満足でした。
もちろん、わたしも。
まず、料理がおいしい。
ホタテとカニの前菜 |
茶碗蒸しスープ |
工夫を凝らしたお刺身 |
牛フィレステーキとフォアグラ |
アワビのステーキ |
にぎり寿司 |
デザート |
つかっている材料も良く、この料理だけで2万円くらいのコースです。
ただしドリンクは、自分でバーテンダーにオーダーする方式だったので、飲みたい方はバーコーナーに行かないとなりません。
が、プロのバーテンダーがつくるカクテルは本格的でした。
親子の情愛に訴える演出
かつてのど派手な演出は影をひそめ、親子の情愛に訴えるようなものに変化しているようです。
わたしが良いなと感じたのは、チャペルでのこのシーン。
父から新郎へ新婦を渡すシーン |
てっきり、父親の手が思わず出たんだわ、と思ってこの写真を当の本人に見せたところ、「これは式場の演出」だからやったのだとか。
なぬ!演出!!
うまい!
どうみても、新婦を手放す父の心情が、この手に表れているではないですか。
完全にだまされてました、わたし。
こういう演出って、他の結婚式場でもやっているんでしょうか?
ど派手な演出は今もたまにあるそうですが、情愛に訴えるような細かい演出が中心になってきているみたいです。
結論
新郎新婦の親でない限り、「殿・閣・会館」の結婚披露宴はラグジュアリーな設備のなかでおいしい料理を楽しめるので、おすすめです。
わたしは気に入りました。
ずさんな経営感覚は修正してほしいところですが、出席者には見えませんしね。
楽しくって、涙あふれる、良い披露宴でした。
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