黄金の烏 | ||||
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ファンタジーノベルらしい展開となる本作では、”日嗣の御子”と元近習の雪哉が大活躍。
”日嗣の御子”が遊学していたとされる外界とは人間界であるらしいこともわかってきます。
本作のテーマは、ずばり「真の金烏とは?」です。
読者である私たちは真の金烏というのは神性を兼ねた存在なんだろうな、と思いながら読んでいるわけですが、登場人物である雪哉は、政治的言い訳=真の金烏説、をとっています。
まずファンタジーノベルらしい展開のほうですが、外界とのつなぎ目に人の形をしたものを餌とする大猿がいて、その猿たちが八咫烏の世界に狩りにやって来る、と設定です。
これって、あれだよね、プレデター!
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エイリアンに人間が狩られる、というプレデターは私も大好きな映画のひとつです。
設定が秀逸です。
で、本作でもこの設定が採用されておりまして、ここに外界の謎が絡んでくるのです。
そして、八咫烏界において、真の金烏がなぜ誕生するのか、という謎も解明されます。
ストーリー面では、これらの謎がどんどん解明されていくわけですが、作者が描き出したかったのは、人間の思い込みと誤解、価値観の押しつけ、といったことのようなのです。
つまり、「こんな生活をしているなら、きっとこうだろう」という勝手な思い込みによる発言が、相手を傷つけていることもある、ということ。
第一作でもなんとなく感じていた、湊 かなえ
私も時々感じますが、人間は、自らの価値観によって相手を見てしまいますよね。
自分ならこの場面でこうするだろう、という目で相手を見る。
会話の中で、ちょっと違和感を感じる発言をする人がいたりすると、「ああ、この人はこういうことをやる人なんだ」と、逆に相手の価値観を感じ取ることもあります。
そういう思い込みが、人を傷つけることもあれば、その価値観がとんでもないことを引き起こす、ということを描きたかったように思いました。
年に1作のペースで発表されている八咫烏シリーズですが、4作目は手元にあります。
これを読んでしまうと、来年まで読めないんですが、やっぱり読んでしまいましょう。
<関連記事はこちらから>
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