「天才ハッカー安部響子と五分間の相棒」読了しました。
天才ハッカー安部響子と五分間の相棒 (集英社文庫) | ||||
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本書は、ライトノベル風の体裁、そしてタイトルですが、ハッカー集団「アノニマス」へのオマージュだと思います。
というのも、「サイバーセキュリティ読本」において、著者はアノニマスのドキュメント本を読んで、青春群像、と評しています。
その青春群像を模しているんだろうな、と思った点は、次の通りです。
最後まで顔を合わすことはなく、ネット上で匿名で会議をしていた
本書でも、回転すし方式のチャットルームで会議をしていて、どこのだれかは知らない。
中心人物とその役割の相似
リーダーとスポークスマンが本書でも役割として出てきます。
攻撃の中心は少人数
本書でも同様のことが描かれています。
「ラスク」という名称
これはもう、ラルズセック、からなんだと思います。
本書は、ハッカーとして10年以上生計を立てている、安部響子が指揮する正義のハッカー集団「ラスク」の物語。ピカレスクというやつですね。
たぶん、悪いんだけど、かっこいいから賞賛しちゃうってやつです。アルセーヌ・ルパンとか、ねずみ小僧とか。
ですが、著者がもっとも表現したかったのは、対面コミュニケーションに重大な欠陥を持つ安部響子と、彼女がリクルートした高野肇の、ほほえましいくらいに奥手な恋愛だと思います。
この辺りは、「ビブリオ古書堂」シリーズの栞子さんと五浦くんを思い出させてくれます。
パターンも一緒で、その道の達人(女性)と、達人に導かれる者(男性)との、非常に繊細な恋模様、なんです。
本書は、できればシリーズ化していただきたいです。
それこそ「ビブリオ古書堂」シリーズみたいに。
ふたりのなれそめは描かれているので、ふたりのその後を読んでみたいですね。
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