「堀木エリ子の生きる力
著者の堀木エリ子さんは、古い知人で、Webを検索していて、偶然発見。
長い間、没交渉だったのですが、メールを差し上げてみたところ、最近出したので、とこの本を送っていただきました。
思い起こせば、堀木さんとの出会いは、この本にも出てくる社長が、なぜか私にも目をかけてくださり、京都でご紹介くださったこと。
その時にご紹介いただいた建築家の吉柳 満さんとは、2010年に再会しました。
偶然にも、我が家の近くの飲食店が吉柳 満さんのデザインだったので、かなり前に聞いていた携帯電話の番号に連絡を取りました。
この辺りは、「偶然というか直感というか」に書いています。
本題に戻ると、お会いしたころの堀木さんは、ショールームができるかどうか、という時期で、シムスの仕事を本格的にはじめた頃でした。
女二人で、深夜まで京都の街で飲んだことも、昨日のことのように思い出されます。
今回、この本を読んで、強く感じたことがあります。
それは、自分がやりたいこと、やるべきことが明確な、使命感を持っている人間と、そうではない人間の違い、です。
前者が堀木さんだとすると、後者は私自身です。
堀木さんは、出会った時から一貫して、大きな和紙をインテリアとして使用することにこだわり、その可能性を世界に知らせたい、多くの人に見てもらいたい、という意思がありました。
その決意のほどは、本書をお読みいただければ、ひしひしと伝わります。
翻って自らを内省すると、そういう使命感や意思を全く持たずに、長いこと生きてきてしまった、モラトリアムな私が、自然と浮き上がってきます。
「来るもの拒まず、去る者追わず」が、長いこと、私にとってのビジネスルールでした。
若いころから、周囲に恵まれていたせいか、自分で道を切り開く、という努力をしたことがありません。
チャンスはすべて、周囲の皆さんが与えてくれた、と言っても良いと思います。
たとえば、スティービーアワードの日本代表になったこと、大学で教鞭をとっていること、古くは日経産業新聞にコラム(流行ウォッチング)を持たせてもらったこと、などなど。
過去を振り返ると、自分でこうしたい、こんなことをやりたい、と思って始めたことは、なにひとつないのです。
私が、意思をもって仕事を始めたのは、せいぜい、ここ5~6年ではないでしょうか。
自分で会社を興す、と決意したころだと思うのです。
本書を手にし、堀木さんの人生をどんどん読みすすめていくうちに、堀木さんと自分の人生を比較する自分に気がつき、上記のような反省をしているうちに、ブログに書き留めることができなくなっていたのです。
つまり、本書は、モラトリアムで流されて仕事をしている人間にとって、自らの人生を反省するために読むべき1冊なのではないでしょうか。
堀木さんの生きる力、それは強靭な意志と使命感が、大きな柱となっています。その柱を中心に、何か面白いことができそう、という方々が周辺に集まってくる、その求心力こそが、堀木さんなのです。
私は、この本を読了して10日後くらいに、これまたすごく古い友人と食事をする機会を得ました。
すると彼は、他人から見たらそれは贅沢な悩みだ、というのです。
堀木さんのように生きることができる人は少ないでしょう。
20代で明確な意思をもって仕事ができる人間は、それこそ神に選ばれた人々なのだと思います。
しかし、そういう人々がいてくれるからこそ、翻って、自分の生き方を考え直す機会も与えられるのではないでしょうか。
堀木エリ子の生きる力 (ソリストの思考術 第6巻) | ||||
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