「気分はまだ江戸時代」を読了。
與那覇 潤先生と池田 信夫先生の対談集です。
與那覇 潤先生は、「中国化する日本 日中「文明の衝突」一千年史
一方の池田 信夫先生は、「もし小泉進次郎がフリードマンの『資本主義と自由』を読んだら
この二人が、日本という特殊な国を解説しているのが本書です。
電子ブックのため、書店には並んでいませんが、210円でPDFとしてダウンロードできるので、紙じゃないと読めない、という方にも対応しています。
私はこの二人の学者を支持する者なので、中身については全面的にagreeです。
たとえば、ジョブ・ディスクリプション、つまり業務内容を明確にする、という点において、日本は曖昧、欧米(中国も)は明確に規定する、という違いがあります。
この違いは、ボトムアップでしか動かない日本企業と、トップダウンでドラスティックに動く欧米企業と言い換えることができます。
本書のなかでは、「現場の自律性が高すぎる」=現場が優秀すぎるためトップダウンで決めることができない、と解説されています。
このことは、コールセンター等のサービス業において、コスト管理の弊害となる現場主義で説明できると思います。
サービスには本来、コストに見合ったベンチマークがあるべきなのですが、クライアントからの要求や、発生したトラブル対応のために、現場が自律的に、契約内容を超えた業務を素早く立ち上げることが多々見られます。
経営陣はこの対応を知りません。
ある日、月次決算の数字を見て、利益率の低下により、その原因が現場判断による追加業務であることを知るのです。
つまり、ジョブ・ディスクリプションに、利益率を左右するようなことをしない、とか、契約内容を超える業務を行ってはならない、とか、書いてあれば、現場が会社全体に影響を与えるようなことは行わないはずなのですが、実際には、そういう書き方はしませんし、おそらくそういう発想もないでしょう。
以前、「日本企業はなぜ海外進出に失敗するのか」と題してこのブログにアパレルに関して書きましたが、ジョブ・ディスクリプションを明確に示さない日本企業のやり方が、日本以外では通用しないということに、気付いていないのだと思います。
欧米企業が中国で成功し、日系企業のことごとくが失敗しているのも、この点に理由があると考えます。
海外でビジネスを行いたい、海外進出したいと考えている方には、ぜひ読んで欲しい1冊(?)です。
フレームワークを変えることがいかに重要かがわかるのではないでしょうか。
気分はまだ江戸時代[Kindle版] | ||||
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