日本中枢の崩壊

日本中枢の崩壊」を読了。
著者は現役経産省幹部の古賀茂明氏。日本のニュースは1年以上関心がなく見ていないので、全く知らなかったのですが、改革派としてかなり有名人物のようです。

この著作を深く理解するためには、官のシステム (行政学叢書)構造改革の真実 竹中平蔵大臣日誌は必読だと思います。
立場が異なる視点で、日本の官僚システムを解説し、いったい何がダメなのか、を指摘しているので、一緒に読んでほしいと思いました。もちろん本書だけでも十分に面白く、そして日本のダメさ加減が具体的に理解できると思います。


将来にわたっての具体的な指摘は、やはり現役官僚ならではのものがあり、私は全面的に賛成できるものばかりです。
これまでも、日本の政治や社会の仕組みに、多くの日本人が辟易としていることや、海外に目を転じると、日本国内の議論がコップの中の嵐であり、しかも世界の標準的な思考や方法論、システムからかなり遅れていること、を何度もこのブログで書いていますが、ほぼ同じ感覚を著者はお持ちのようです。


私は大学での講義の中で、学生に何度もこう言っています。
「皆さんの競争相手は日本人ではなく中国人をはじめとしたアジア人である。なぜなら彼らは、皆さんより意欲があり、経営者として雇いたい人材が多い」
「インターネットのサービスを使いこなせる人材でなければ、少なくとも私は採用しない。なぜなら、グローバルに活動するためには、インターネット、特にクラウドサービスを積極的に利用することになるから」


また改めて確信したのは、日本のマスコミ報道を信頼してはいけない、ということです。
巨大スポンサー東電に遠慮する。
これは広告で生活しているメディアなら当然のことです。広告論の講義の中で、毎年学生に語る「メディアは信頼できない」という理由のひとつです。


日本人の多くは、著者の言葉に耳を傾けるでしょう。そして賛成してくれる人も多いと思います。
若者が生活しやすい未来を創る。
これが日本経済再生のためのコンセプトだと考えます。
しかし、マスコミが官僚に誘導され間違ったキャンペーンをする可能性が、日本では極めて高いのです。


それなら、正しい情報はどこにあるのでしょうか。
まずは海外のニュースサイトにアクセスするべきです。著者も何度も書いている「エコノミスト」はひとつの事例です。私も時間があるときには、読みに行っています。日本経済の凋落から記事は少なくなっていますが、詳しい分析を交えた記事が時々掲載されます。


海外からの日本の評価にもっと敏感になるべき、本当に今は危機的状況なのです。
海外でビジネスをしているからこそわかる実感を、著者は的確に描写しています。


官僚をリストラする。
そういう日本に早くなって欲しいです。


日本中枢の崩壊

古賀 茂明 講談社 2011-05-20
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