「幸福の方程式 (ディスカヴァー携書)」を読了。電通チームハピネスと、”婚活”などの話題のキーワードを次々に生み出している山田昌弘氏の労作です。
なんといっても素晴らしいのは、「幸福のペンタゴン・モデル」を描き出したことです。
これは、時間密度・手ごたえ実感・自尊心・承認・裁量の自由の5つが、幸福を感じるために必要になってきている、という軸をモデル化しているものです。
具体的には、以下のように説明されています。
時間密度
人生の時間の中で、充実した時間の割合の大きいことを言いますが、充実した時間には、2つの種類があります。ひとつは時間を忘れるほど夢中になっている時間です。(中略)つまり、今が満ち足りている時間です。もうひとつは、将来の夢としっかりと結びついたことができている時間で、(中略、目的のために)てきぱきと仕事を片付けているようなときです。
手ごたえ実感
知っていることが増えたとき、できなかったことができるようになったとき、お金がふえているとき、自分が成長しているのを実感したときなど、人生の手ごたえを感じるとき、それが「手ごたえ実感」です。(中略)手ごたえ実感を得るには、自分の人生に課題を持っている必要があります。
自尊心
自分が生きている幸福の物語を自分で肯定できるかどうかを判定する鍵です。(中略)自尊心が弱まると、自分が気を使ったり、努力することの意味がわからなくなってきます。(中略)自分のことが好きになれないことは幸福の敵なのです。すなわち、わたしたちは他人から認めてもらえる自分を好きになりたいのです。
承認
他人から尊敬され、大切な人として扱われることを「承認」といいます。ホテルや百貨店に行くと良い気持ちになるのは、ホテルや百貨店が私たちを”お客様”として承認してくれるからです。(中略)承認がなければ人から無視され、無力な自分にいつも失望していなければなりません。組織や仲間で承認されるということは、そこに自分の「居場所」があるということです。(中略)承認は、自分が生きている物語が、他人から見てもすばらしいもので意味があることを他人の目で確認することであり、他人の中に自分の「居場所」があることを確認する鍵なのです。
裁量の自由
自分が好きなことを好きなときにできる自由があることで、自分が自分の物語の主人公であるための鍵です。言い換えれば、自分のことを自分で決める権限を持っていることです。(中略)裁量の自由で幸福になるためには、何かをやりたいという「内発的な動機」を持ち続けるエネルギーが不可欠です。また、「内発的な動機」さえあれば、多少自分が嫌いなことであっても自分でモチベーションを作って課題を楽しむことができるのです。
以上の5つが組み合わさって、人気を集める商品やサービスがある、ということになります。「シンプル族の反乱」は、このペンタゴンモデルの実例集のようなものだったので、あわせて読まれると、今、日本人が何を求めているのかがより理解できると思います。
そして本書は、「仕事」こそが消費の最たるものであることを最終章で解きます。これについては本書をお読みいただいたほうが良いと思いますので、ぜひ手に取ってください。
少し話はずれますが、本書を読んで既に1週間が経過していますが、改めてブログに幸福のペンタゴンモデルの説明を引用してみると、J-POPの多くがこれらのメッセージを発してることに気づきます。
私がすぐに思い出したのは、平原綾香の「Jupiter」の一節です。
夢を失うことより悲しいことは、自分を信じられないこと。
愛を学ぶために孤独がある。
私たちは誰も一人じゃない。
望むように生きて輝く未来を。
どうですか?
まるで幸福の方程式を解いているみたいですよね。
私たちが今、欲しいメッセージの多くは音楽にちりばめられているようです。
コメント
コメントを投稿