Amazon Primeで『グッバイ・クルエル・ワールド』、Netflixで『ヘルドッグス』を観ました。
組織から外れた者同士の化学反応
エルビス・コステロの代表曲のひとつでもある『グッバイ・クルエル・ワールド』と同じ題名の映画に、とても興味がありました。
映画館に観に行こうかな、と考えたのですが、映画館で観なくて正解だったかも。
映画『グッバイ・クルエル・ワールド』は、様々な年代の、組織から外れたアウトサイダーな人たちが出会って起こる、化学反応を描いたような作品です。
全編にロックミュージックが流れ、緩急のある画面はロードムービー的で、個人的には好きな映画です。
が、嫌いな人は嫌いかも。
登場人物に共感できないと物語が好きになれない人には、苦手な作品ではないでしょうか。
登場人物は、やさぐれていて、世間と正面から向き合おうとしても相手にされなかったり、拒否されたりするような人物ばかり。
だからこそ、犯罪に手を染めてしまうわけですが、西島秀俊さん演じる元ヤクザに対する冷たい世間の反応は、当然と言えば当然かもしれません。
元ヤクザであることの不幸については、藤井道人監督の『ヤクザと家族 The Family』に描かれているので、深味は『グッバイ・クルエル・ワールド』にはありません。
状況に流されていく人間を描いているので、深い意味とか理由とか、そういうものを考えないでノリで観る映画だと思います。
組織のためには殺人も
いっぽうの『ヘルドッグス』は、警察官でありながら、暴力団組織に潜入する人間の物語。
組織のなかで頭角を現し、信頼を勝ち得るためには、所属する組織の掟と流儀を実践するしかありません。
そのためには、殺人部隊として働くことも重要なこと。
と割り切っているようにみえて、原作では、毎回体力と精神力を削がれてしまう主人公を演じているのが岡田准一さんです。
原作では、もう少し大柄な人物として描かれているので、見た目はミスキャストに見えるかもしれません。
しかし、アクションをみたら、岡田准一さん以外に、この役を演じることができる俳優さんはいないだろうな、と思わせるものがあります。
カルト宗教二世の坂口健太郎さんも、役柄にはまっていて、原作ファンでも納得できる作品に仕上がっていると思います。
アウトサイダーと組織人の違い
『グッバイ・クルエル・ワールド』がアウトサイダーの映画だとすれば、『ヘルドッグス』は組織人の映画です。
やってることに大きな差はありませんが、その場のノリで犯罪に走る人々よりも、組織のために理不尽な犯罪に手を染める人のほうが、理解しやすいかもしれません。
しかし、現実には、アウトサイダーである烏合の衆が犯罪に手を染めることのほうが増えているので、『グッバイ・クルエル・ワールド』のほうが、今っぽい作品だといえるかも。
好みはありますが、どちらも面白く観ることができる映画です。
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