裏紙を再利用!中国企業のビックリ情報管理

日本年金機構が、個人情報の入力を委託した企業が、中国の会社に再委託したことがニュースになりました。

日本年金機構 中国 情報管理
http://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20180322_01.html

再委託も問題ですが、中国での情報管理について日本人は認識が甘いので、わたしが実際に体験したことを、ここに書いておこうと思います。




口座情報の出力紙を裏紙に!

2010年から2011年にかけてのことですし、すでに改善されているので、実名で書いていきます。

当時、わたしは中国の会社の財務会計の担当役員をしていました。

定期的に、口座がある北京の三井住友銀行から、口座情報がプリントアウトされたものが郵送されてきます。

そこまでは良いのですが、入出金から残高、果ては口座番号まで印字された紙の裏側には、他の会社の口座情報がプリントされていたのです!

最初のうちは、「間違いかな」と思っていたのですが、ひっくり返すと、毎回、英字で印字された他者の口座情報が!!!

これは、あきらかに裏紙を使っている、と確信したわたしは、北京の支店長宛に事情を説明するメールを送りました。


裏紙使用を知らない日本人支店長

メールを受け取った日本人支店長は、裏紙を使用していることを全くご存じありませんでした。

しかも裏紙使用は、日本では厳しく禁止されていること。

すぐに関係者に確認し、裏紙の使用を禁止したのでした。

三井住友銀行に変わって口座情報を郵送していたのは、富士通の子会社であったため、まさか裏紙が堂々と使われているなど、想像もしなかったようです。


経理責任者を中国人にしなければならない外資系企業

いまは違うのかもしれませんが、当時は、社内の経理責任者の名前を、税務局に登録しなければなりませんでした。

社内の経理責任者は中国人でなければならず、仕方なく、わたしの会社では友人の名前と電話番号を借り、連絡だけしてもらえるようにお願いしていました。

当時は、経理担当者として中国人を雇うことに抵抗感があった、というのが一番の理由です。

そして、この制度こそが、口座情報の裏紙使用について、三井住友銀行の支店長が長い間知らなかった、ということに関係していると思います。

中国 税務 日本年金機構
税務局に納税情報を登録する専用ソフトと端末

経理や税務業務を知らない日本人総経理(社長)

一般的に、日系企業の日本人総経理(社長)は、経理や税務でどんなことが行われているのかを知らない場合が多いです。

その理由は、会社設立時の手続きを自分でやらないことが、大きく関係しています。

わたしは人任せにしないで、経理や税務関係の手続きを行いました。

⇒ 中国での領収書発行はハードルが高い

そして、経理宛にとどく郵送物にはすべて目を通していました。

だからこそ、口座情報が裏紙に印字され、堂々と郵送されていることにも気づいたのです。

多くの日系企業が口座をもつ三井住友銀行でしたから、本来なら、わたしが気がつくよりも先に指摘されていたはずなのです。

しかし、そうはならなかったのは、経理業務を日本人総経理が把握していないからだと推測されます。

わたしは驚く一方、ある意味、納得もしていたのでした。

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OKI製の発票専用プリンター

裏紙が活躍する紙が高価な中国

これまた、今では事情が違うかもしれませんが、2011年のころは、中国では紙が高価でした。

情報セキュリティよりも、コスト削減の意識が高く、中国では裏紙があちこちで使われていたのです。

けっこう重要な書類(地方政府発行)が裏紙だったこともあります。

中国では、赤い印章があるほうが正式であって、その裏になにが書いてあろうが、何が印字されていようが関係がないのでした。


個人情報バレバレでセキュリティ意識が低い?

これは、個人情報に対する意識とも関係しているようです。

ご存じのように、中国では、政府がつねに国民を監視しているような状態なので、個人情報についてもセキュリティ意識が低いといえます。

面識のない人に対して、携帯電話の番号を教えることに躊躇がありません。

なぜなら、なにかの申し込みや利用をしようとすると、IDとともに必ず書かされるのが携帯電話の番号だからです。

日本人の多くが、携帯電話の番号をできるだけ知らせたくないと考えているのとは、大きく異なります。

国がネットを監視していることによって、スパムメールのような迷惑な営業行為はほとんどできませんし、犯罪にいたっては、かなりの勇気を必要とします。

これが、個人情報を気軽に出す中国人を形成しているのではないでしょうか。


情報セキュリティの実施レベルのチェックが必要

公式な文書に、今では裏紙を使っていないと思いますが、日本のように社内文書であっても厳禁かどうかは、現場で抜き打ち検査をしないと本当のところはわかりません。

プリンターの紙が切れても、ちょっと歩けばすぐに買うことができる日本と違って、大陸の中国では2ブロック、片道1キロくらい先まで行かないと売っていません。

ビジネス街でもこのような有様でしたので、現場の担当者が、裏紙を使いたくなるのも理解できるというか、実際のところ、中国で実務を行うと「まあ、いいか」と妥協したくなるのです。

これは香港でも同様で、日本の感覚で文房具を買おう、揃えようと思っても、なかなか手に入らないからです。

食品工場では、抜き打ち検査があたりまえになってきているようですが、経理などについても、現場の情報管理の状況を抜き打ち検査しないと、情報漏洩があったとしてもわからない可能性があります。

最初に紹介した日本年金機構の個人情報も、日本人ならデータごと盗むだろうと考えると思いますが、中国人相手なら、情報を出力した紙(アナログデータ)を盗んで売りさばくことだってありうるからです。



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