最近、「隷属なき道 AIとの競争に勝つベーシックインカムと一日三時間労働」を読んで、各章ごとに紹介しています。
この本の「第6章 ケインズが予測した週15時間労働の時代」では、男性が育児休暇を取得することによる効果について書かれていました。
そこには、男性が育休を取得すると、その後も家事や育児に参加するようになる、という事例が紹介されていたのです。
日本では、なぜ男性が家事や育児を負担しないのか。
それは、日本が先進国のなかでも、極端な男女不平等な社会だからではないでしょうか。
歴史的な背景が、男性優位の社会にしてしまっているのでしょうか。
今回は、男性の育児休暇と、男女平等について、まとめてみました。
「夫は保育園の送り迎えが一切できず、お休みする場合も仕事を休むのは母親のみ」
「すべて自分でやらなければならないこと」
「自分のみが、世話して当然で、自由の時間を取るのに許可や段取り必要なこと」
が、一番ストレスを感じることとしてあげるママが15.8%もいました。
また、博報堂による「子育て家族の休日事情」調査では、パパが 1 人の時間を作れる事が多い家族が17.3%に対し、ママが 1 人の時間を作れる事が多い家族はわずか3.5%という結果が紹介されています。
ワンオペ育児で悩む女性の数としては、どちらも少ない数字のように感じるかもしれませんが、自分の自由な時間がないことこそが、ワンオペ育児そのものではないでしょうか。
むしろ、不平等な社会の言い訳として乱用されているのです。
AIとロボットが普及する現代において、中流の仕事、つまりごく普通の人たちの仕事は減り続けるというのです。
労働時間は極端なまでに縮小されたとき、現在のような時間給をベースとした給与体系では、誰も生活を維持することはできなくなります。
だから、ユニバーサル・ベーシックインカムが必要になる、というのです。
すこし横道に外れてしまったかもしれませんが、育児中の女性が陥る「夫に養ってもらっている」という意識には、まったく根拠がありません。
また、そのようなことを言動にあらわす男性こそ、長期の育児休暇を取得するべきです。
たとえば、デンマークで母乳育児のGDPを算出したところ、年間1100億ドルにも上りました。
この金額は、2013年の中国の軍事予算とほぼ同じです。
デンマークの人口は、573.1万人 (2016年)。
2015年の出生率は1.69 人 です。
日本の20分の1サイズのデンマークでさえ、母乳育児のGDPが中国の軍事予算と同じなら、日本なら相当な額になるはずです。
これらの長時間労働の国は生産性が低い。
そして、長時間労働の国ほど、長時間テレビの前に人が座っている、つまりムダな時間が多いのだそうです。
逆に、労働時間が短い国は、男女平等ランキングの上位にあります。
このランキングで日本は、2015年に101位、2016年は111位、2017年が114位とどんどん順位を落としています。
中国人の女性と話をすると、「日本くらい男女不平等な国はない」という言葉がよく出てきます。
この男女平等ランキングで中国は100位です。
その中国からみても、日本の女性は不平等な立場にあるということではないでしょうか。
料理や掃除などの家事を、男性が公平に分担してはじめて、女性は自分の自由時間を持つことが可能になり、幅広い経済活動に参加できるようになります。
スウェーデンでは、男女間の労働時間の差がほとんどなく、育児や父親の育児休暇のためのシステムがしっかりしています。
これは、政治的な圧力があって実現したこと。
日本でも女性政治家が増えなければ、男性が公平に家事を負担することはありえないのではないでしょうか。
女性も男性並みに働くことを企業は求めていて、それが当然のこととして受け止められている社会。
労働に対する判断の基準が、長時間はたらく男性なのですから、身体の弱い会社を休みがちな男性は高く評価されないことでしょう。
いわんや女性をや。
ときどき就業規則のドラフト作成を依頼されますが、この5年から10年のあいだに、就業規則は様変わりしました。
男女の育児休暇はもちろんのこと、産前産後休暇、生理休暇など、就業規則では必須項目になりました。
しかし、これらの特別休暇について給与の保証についての記載はほとんどありません。
これは、「働かざる者食うべからず」が言い訳に使われているためです。
また、休暇中の給与保証は、結婚や出産する年齢層の社員だけを優遇するように感じる社員も少なくないためでしょう。
不公平だ、というわけです。
つまり、労働とは、会社が決めた通りに働ける人のみができる行為であって、部分的な労働を認めないという空気が、日本社会には蔓延しているとしか考えられません。
毎日8時間、きちんと働ける人しか、労働の現場には必要ではないということでもあります。
これは工場の発想です。
もはや工場には従業員が必要ではなくなり、AIを搭載したロボットが導入され始めているにもかかわらず、です。
なんと遅れた考えでしょうか。
経済的な発展は、労働人口が増えることで確保されます。
しかし現状では、その子どものために犠牲を払うのは個人であり、ワンオペ育児をせざるをえない女性です。
子どもを産むことがリスクになる、日本という国の構造こそが、人口を縮小させているのです。
声高に形ばかりの男女平等を唱えるより、ルトガー・ブレグマン流にベーシックインカムを導入したほうが、子どもは増える可能性が高いと思います。
なぜなら、子どもにかかる膨大な費用こそが、男性が長時間はたらく原因にもなっているからです。
たとえば日本で、国民一人当たり50万円のベーシックインカムを1億3000万人に導入すると、65兆円になります。
国家予算が100億円を超えるくらいなので、国民一人あたり50万円のベーシックインカムは無理があるかもしれませんが、現状の社会保障費35億円と同程度なら、国民一人当たり年間25万円のベーシックインカムが可能になります。
3人家族なら年間75万円になります。
子育てにかかる費用のすべてをまかなうことはできないかもしれませんが、大きな助けになることは間違いありません。
第2章 福祉はいらない、直接お金を与えればいい
女性が活躍することで、国は労働人口を増やし、税収も確保しようとしています。
であるならば、育児休暇にも給与の保証を法制度化すべきでしょう。
スウェーデンでは85%が保証されているみたいですよ。
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取得率はわずか3%、男性社員の育休事情
隷属なき道 AIとの競争に勝つベーシックインカムと一日三時間労働 | ||||
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この本の「第6章 ケインズが予測した週15時間労働の時代」では、男性が育児休暇を取得することによる効果について書かれていました。
そこには、男性が育休を取得すると、その後も家事や育児に参加するようになる、という事例が紹介されていたのです。
日本では、なぜ男性が家事や育児を負担しないのか。
それは、日本が先進国のなかでも、極端な男女不平等な社会だからではないでしょうか。
歴史的な背景が、男性優位の社会にしてしまっているのでしょうか。
今回は、男性の育児休暇と、男女平等について、まとめてみました。
「ワンオペ育児」で悩む女性たち
「約500人のママに聞いた育児ストレス」という調査結果には、<パートナーとの育児分担に関して>として、「夫は保育園の送り迎えが一切できず、お休みする場合も仕事を休むのは母親のみ」
「すべて自分でやらなければならないこと」
「自分のみが、世話して当然で、自由の時間を取るのに許可や段取り必要なこと」
が、一番ストレスを感じることとしてあげるママが15.8%もいました。
旅行は最大の家族イベント |
また、博報堂による「子育て家族の休日事情」調査では、パパが 1 人の時間を作れる事が多い家族が17.3%に対し、ママが 1 人の時間を作れる事が多い家族はわずか3.5%という結果が紹介されています。
ワンオペ育児で悩む女性の数としては、どちらも少ない数字のように感じるかもしれませんが、自分の自由な時間がないことこそが、ワンオペ育児そのものではないでしょうか。
夫が働いているから養ってもらえるという幻想
「隷属なき道 AIとの競争に勝つベーシックインカムと一日三時間労働」のなかで、くりかえし説明されているのが、「働かざる者食うべからず」は幻想であるということです。むしろ、不平等な社会の言い訳として乱用されているのです。
AIとロボットが普及する現代において、中流の仕事、つまりごく普通の人たちの仕事は減り続けるというのです。
労働時間は極端なまでに縮小されたとき、現在のような時間給をベースとした給与体系では、誰も生活を維持することはできなくなります。
だから、ユニバーサル・ベーシックインカムが必要になる、というのです。
すこし横道に外れてしまったかもしれませんが、育児中の女性が陥る「夫に養ってもらっている」という意識には、まったく根拠がありません。
また、そのようなことを言動にあらわす男性こそ、長期の育児休暇を取得するべきです。
たとえば、デンマークで母乳育児のGDPを算出したところ、年間1100億ドルにも上りました。
この金額は、2013年の中国の軍事予算とほぼ同じです。
デンマークの人口は、573.1万人 (2016年)。
2015年の出生率は1.69 人 です。
日本の20分の1サイズのデンマークでさえ、母乳育児のGDPが中国の軍事予算と同じなら、日本なら相当な額になるはずです。
子育てやボランティアなどがGDPに反映されない理由
子育てや育児、ボランティアなど、無償の労働は、労働時間の半分以上を占めています。
それなのに、なぜGDPに反映されないのでしょうか。
その理由は、無償の労働を負担しているのが女性だから、と経済学者のダイアン・コイルは説明しています。
つまり、ワンオペ育児がGDPに占める割合が大きいということをわからせなければ、男性は育児休暇を取得しないということではないでしょうか。
厚生労働省の「平成28年度雇用均等基本調査」によれば、女性81.8%・男性3.16%です。
男性が育児に参加しないことが、女性の社会進出や活躍を阻む要因と、厚労省も認めています。
長時間労働の国の生産性は低く、労働時間の短い国は男女平等ランキングの上位に
ルトガー・ブレグマンの「隷属なき道 AIとの競争に勝つベーシックインカムと一日三時間労働」には、働き過ぎの国として、アメリカやトルコと並んで日本が取り上げられています。これらの長時間労働の国は生産性が低い。
そして、長時間労働の国ほど、長時間テレビの前に人が座っている、つまりムダな時間が多いのだそうです。
逆に、労働時間が短い国は、男女平等ランキングの上位にあります。
このランキングで日本は、2015年に101位、2016年は111位、2017年が114位とどんどん順位を落としています。
中国人の女性と話をすると、「日本くらい男女不平等な国はない」という言葉がよく出てきます。
この男女平等ランキングで中国は100位です。
その中国からみても、日本の女性は不平等な立場にあるということではないでしょうか。
料理や掃除などの家事を、男性が公平に分担してはじめて、女性は自分の自由時間を持つことが可能になり、幅広い経済活動に参加できるようになります。
スウェーデンでは、男女間の労働時間の差がほとんどなく、育児や父親の育児休暇のためのシステムがしっかりしています。
これは、政治的な圧力があって実現したこと。
日本でも女性政治家が増えなければ、男性が公平に家事を負担することはありえないのではないでしょうか。
日本が女性にやさしくない理由
あくまでも私見ですが、女性の労働を、男性にあわせようとしていることが、一番の理由ではないかと思います。女性も男性並みに働くことを企業は求めていて、それが当然のこととして受け止められている社会。
労働に対する判断の基準が、長時間はたらく男性なのですから、身体の弱い会社を休みがちな男性は高く評価されないことでしょう。
いわんや女性をや。
ときどき就業規則のドラフト作成を依頼されますが、この5年から10年のあいだに、就業規則は様変わりしました。
男女の育児休暇はもちろんのこと、産前産後休暇、生理休暇など、就業規則では必須項目になりました。
しかし、これらの特別休暇について給与の保証についての記載はほとんどありません。
これは、「働かざる者食うべからず」が言い訳に使われているためです。
また、休暇中の給与保証は、結婚や出産する年齢層の社員だけを優遇するように感じる社員も少なくないためでしょう。
不公平だ、というわけです。
つまり、労働とは、会社が決めた通りに働ける人のみができる行為であって、部分的な労働を認めないという空気が、日本社会には蔓延しているとしか考えられません。
毎日8時間、きちんと働ける人しか、労働の現場には必要ではないということでもあります。
これは工場の発想です。
もはや工場には従業員が必要ではなくなり、AIを搭載したロボットが導入され始めているにもかかわらず、です。
なんと遅れた考えでしょうか。
子育てを助けるのはベーシックインカムかも
子どもは国の宝でもあります。経済的な発展は、労働人口が増えることで確保されます。
しかし現状では、その子どものために犠牲を払うのは個人であり、ワンオペ育児をせざるをえない女性です。
子どもを産むことがリスクになる、日本という国の構造こそが、人口を縮小させているのです。
声高に形ばかりの男女平等を唱えるより、ルトガー・ブレグマン流にベーシックインカムを導入したほうが、子どもは増える可能性が高いと思います。
なぜなら、子どもにかかる膨大な費用こそが、男性が長時間はたらく原因にもなっているからです。
たとえば日本で、国民一人当たり50万円のベーシックインカムを1億3000万人に導入すると、65兆円になります。
国家予算が100億円を超えるくらいなので、国民一人あたり50万円のベーシックインカムは無理があるかもしれませんが、現状の社会保障費35億円と同程度なら、国民一人当たり年間25万円のベーシックインカムが可能になります。
3人家族なら年間75万円になります。
子育てにかかる費用のすべてをまかなうことはできないかもしれませんが、大きな助けになることは間違いありません。
第2章 福祉はいらない、直接お金を与えればいい
女性が活躍することで、国は労働人口を増やし、税収も確保しようとしています。
であるならば、育児休暇にも給与の保証を法制度化すべきでしょう。
スウェーデンでは85%が保証されているみたいですよ。
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