【森 博嗣】「夢の叶え方を知っていますか?」





ミステリー作家だったと認識していた森 博嗣さんの「夢の叶え方を知っていますか?」読了。

この本を読むまで、わたしは森 博嗣さんのことを何も知りませんでした。
森 博嗣さんについて、アマゾンの著者紹介には、こんな風に書いてありました。
某国立大学の工学部助教授の傍ら1996年、『すべてがFになる』(講談社文庫)で第1回メフィスト賞を受賞し、衝撃デビュー。以後、犀川助教授・西之園萌絵のS&Mシリーズや瀬在丸紅子たちのVシリーズ、『φ(ファイ)は壊れたね』から始まるGシリーズ、『イナイ×イナイ』からのXシリーズがある。(中略)
庭園鉄道敷設レポート『ミニチュア庭園鉄道』1~3(中公新書ラクレ)、『自由をつくる 自在に生きる』(集英社新書)など新書の著作も多数ある。

大学教授を引退し、作家業も自分で決めたペースで引き受け、もっぱら趣味というか夢の実現のために日々の努力を重ねている著者による、夢のかなえ方についての本です。



誰かを巻き込む夢は夢なのか?


森 博嗣さんは、ご自分の趣味の費用を工面するために作家になったという方なので、作家としても異色の方です。

その方が、本書を書くためなのかアンケートを実施し、一般人の夢というものを紹介しつつ、夢の本質を解説しています。

目次から少し紹介すると、著者のいう夢の定義がわかります。

  • 職業的な夢は他者との競争になる
  • 自分の夢なのに他者が介入する
  • 夢な本来自己満足である
  • 家族を巻き込んだ夢
  • 子どもを巻き込んだ夢
  • 夢と欲求の違い


「一戸建てを持ちたい」
「結婚して幸せになりたい」
「お金持ちになりたい」

というような夢は珍しくありませんし、誰もが一度くらいは思い描く夢の例だとおもいますが、こういう夢は、夢として正当ではないと著者は考えているようです。


夢の叶え方を知っていますか? (朝日新書)

森博嗣 朝日新聞出版 2017-01-13
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夢を実現するプログラム


わたしは夢というものを持ったことがありません。
人生の目標というのも、具体的にありません。

声に出して、「〇〇が夢です」「わたしは××のような人間になりたい」という人に出会うと、まぶしく見えます。
だから社長とか起業家とか、夢を語れる人が好きなのだと思っています。

ところが、森 博嗣さんの「夢の叶え方を知っていますか?」を読んで、夢を誰かに語れなくとも、毎日すこしずつ進めることができる何か、を持っていることのほうが重要だと気づきました。

著者は、
夢へのプロセスとして、なんとなくあれをやれば良いのかな、と考えているだけだったり、今たまたま何かを習っているだけだったりする人がほとんどだろう。そうではなく、今日は何をする、来週は何をする、今月中にここまで進む、とスケジュールを組み、そのときどきで進捗を確かめ、可能性を吟味し、手法を随時修正する。つまり、プログラミングを更新するような手間をかけているかどうかで、実現の可能性がずいぶん違ってくる。
と論じています。

つまり、毎日スケジュールをクリアすることが、夢を実現させるための手法なのです。

これなら、自分も毎日やってるぞ、と思いました。
日々の仕事のスケジュールはもちろん、将来やりたいこと(やりたい仕事)へのステップを少しずつクリアしています。

ということは、わたしは夢を持っている?


体調管理とコントロール


夢を実現させるために重要なこととして、精神的なコントロールと体調管理をあげています。

やらなければならないとわかっていても、ずるずると先延ばしにしてしまうこと、良くありますよね。

わたしは典型的な先延ばしタイプでした。
目先の欲望に忠実過ぎて、やらなければならないことを、できるだけ先にのばしていました。
テスト勉強のまえに机のまわりを整理整頓したり、テストとはまったく関係のない本を読むとか。

仕事でも、〆切に間に合えばいいや、という感じです。

ところが最近は、第二の脳である腸が変化してきたためか、仕事は前倒しで終えるようになりました。

体調管理も万全です。
健康でないと、何も手につきませんから。

著者は、ご自身の身体が弱かったことから、大学生時代には健康管理の必要性を感じ、就職してからは実践しているというのです。

体調管理と精神のコントロールに、早く気付いた人と、そうではない人との違いが、森 博嗣という作家と、その他大勢の違いなのでしょう。


理系の研究者らしい論理と実践がくわしく解説されて本書は、夢の実現とは、自分自身の行動をプログラミングし、一歩一歩前進することなのだ、と気づかされます。

夢のある人よりも、夢を持たない人のほうが、本書に触発されるかもしれません。


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