震災時、もう一つの素晴らしいお客様対応

春セメでは、3年生の必修で、次のようなことに取り組んでいます。

・東日本大震災が企業活動に与えた影響とは何か
・企業のリスクマネジメントとは
・企業戦略は震災前後でどう変わったのか

といったことを調べて提言を出すのです。

その関係で、地元を代表する京成百貨店様に、震災当日からその後の対応について、学生に講義してもらいました。その話は聞いてビックリの連続です。

まず、震災直後には、お客様には店内に残ってもらい、安全確認ができるまで外には出ないほうが良い、ということを説明したそうです。伊勢丹はお客様を外に出し、商品の安全確保を図ったそうですが、お客様の安否を第一に考えて、あえて外には出ないようにしてもらったのだそうです。

同じような対応をした百貨店として、日本橋の三越と高島屋があったそうです。この2店舗は、古くからのご贔屓さんをたくさん抱えていますので、当然と言えば当然の対応だと思います。

京成百貨店は、その後の対応も秀逸です。
電気供給が自家発電では数時間しか持たないことを見越して、同店内に泊まらざるをえなくなったお客様150名以上の方々に、地下食品階の生鮮食品を提供します。被災地では最も豪華な夕食だったのではないか、と苦笑交じりに説明されておられましたが、にぎり寿司とケーキのデザート付だったそうです。

もちろん寒さ対策として、段ボールやプチプチの緩衝剤を床に引き、販売用の毛布を提供したそうです。ほかにもマフラーなど、商品を惜しみなく提供されています。

12日は店内の片づけをする一方、食品を安くお分けすることを断行。翌13日からは販売を開始しています。それも生鮮を、独自ルートで仕入れ、なんと刺身があったそうです。お客様が携帯電話で「ここには刺身があるぞ!」と興奮していた、というエピソードも。
都内でさえ、生鮮品は品切れが続いていたころ、独立系百貨店の強みを生かした機動力で、地元のお客様第一を考えた結果の動きです。
百貨店も系列化が進む昨今、大量仕入れと配送がネックとなって品切れを起こした大手と比べ、なんと身軽な対応でしょうか。

このような震災直後の対応に対して、数えきれないほどのお手紙をいただいたり、来店時にお声かけいただけたそうです。中には、内原ジャスコを締め出され、4時間以上歩いて京成百貨店に到着した高校生4人組が、後日ご両親ともどもお礼にいらしたり、と話題に事欠きません。

東北のあまりに甚大な被害ゆえ、ほとんど報道されなかった茨城県ですが、このような隠れた活動があったのです。
ちなみに、京成百貨店は、震災直後の対応が素晴らしいと報道されたディズニーランドの関係企業です。

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