今日付けの日経産業「流行ウォッチング」で、春崎 代 さんの「リストカットシンデレラ(上)
多分私は、公のメディアでケータイ小説を紹介した人たちのなかでも、そうとう早かったと思いますが、それもこれも伊東さんという友人がいたおかげです。今回、この小説を取り上げることになったのも、伊東さんからの紹介がきっかけでした。
思えば、2005年の12月に、いいから読んでください、と渡されたケータイ小説を読んだときは、つじつまが合わない、その時々の気分を書いただけとしか思えない小説もどきに、ページを前後に繰りながら、四苦八苦したことを記憶しています。
読了後は伊東さんに返品しました。私にとってはゴミに近かったからです。
それからも時々、ケータイ小説に関するものを読んだり、書いたりしてきましたが、今回取り上げたケータイ小説は、確かに小説でした。
客観的な視点と、家族や友人、それぞれの感情や葛藤を淡々と書いている。そこに著者の悩みの深さがリアルに感じられました。
この小説は、親や、簡単に若者を批評したり、簡単にセグメント分けしたりする者こそ読むべき本だと思います。
つまらない出来事のひとつひとつ、他愛もない会話のひとつひとつが、現代を生きる彼らにとっては大きな障害になってしまうことがある。そういうことを思い出させてくれます。
人間としてひよわになっている。これは正しいと私も思います。
しかし、ひよわな人間に育ててしまったのは大人の責任です。
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