2008年度春セメスターが始まりました

3月の下旬に体調を崩してから、どうにもブログを書く気力に欠けていましたが、やっと調子を取り戻してまいりました。年をとると復活するまで時間がかかります。

さて、先週金曜日から授業が始まりました。
2ヶ月ぶりの大学で少しばかり緊張しましたが、久しぶりに会った学生たちはいつもながらに元気でした。今年で3年目ですし、そんなに学生数が多くもない私立のこじんまりしたところなので、学生たちのなかには見知った顔が多くあります。講義の中で学生に意見を聞くときに、顔見知りの学生は重宝します。

毎週金曜日の朝、水戸行きのフレッシュひたちに乗り、2限から授業です。まずは広告産業論
初日はオリエンテーションですので、授業の概要について1時間弱ほど説明します。学生に興味を持ってもらうことが目的なので、彼らの身近なところで広告とはどういう存在なのかを説明します。
それから、広告産業が日本のGDPの1%を以上を占める産業であることも最初に説明するポイントです。
2007年度は7兆円を超え、インターネット広告費は6,000億円を超えました。2008年3月に出された内閣府のデータでは、2007年の実質GDPは561兆円となっています。約1.2%が広告費となっている計算です。

また広告産業は、特に新聞やテレビなどと密接な従来型の広告会社は斜陽産業だということも話します。仕事の関係上、大手広告会社の方と話をする機会がありますが、彼らの多くが自らのビジネスモデルが限界に達していることや、Googleが作り出した検索連動型の広告システムについて脅威を感じています。
この点については、電通総研の元社長の藤原治氏による「広告会社は変われるか―マスメディア依存体質からの脱却シナリオ」に詳しいので、こちらを読んでください。
2011年7月にアナログテレビが終了する予定ですが、従来型のテレビ広告が支えてきたビジネスモデルはテレビ局はもちろんですが広告会社も維持したいところではないかと思います。

3限目は、今年から担当することになった短大でのマーケティング論です。
常磐大学は、元は女子短大から始まった大学のため、短大が今でもあります。2年で大学を卒業して就職しようという彼らは、4大生以上にまじめで優秀なところがあります。女子学生が当然主流を占めるのですが、男子学生が2名おりました。
私自身が女子校・女子大なので女子学生ばかりかと思っていましたが、時代は変わりました。

驚きはともかく、こちらもオリエンテーションなので、どういう授業の進め方をするのか、成績はどのように決めるのか、等、学生が気になることをまずは説明します。
こちらは40分程度で切り上げ、知り合いの企業の取締役とその部下の方が求人票を大学に出しに来ましたので、彼らに会社説明と、就職活動をはじめている学生たちに就職とは一体なんぞや?という話をしてもらいました。

私は毎回授業の感想を書かせていますが、学生たちの書いたものを読むと、東京からやってきたビジネスパーソン2人の話にすっかり感心した様子です。特に転職を経験した話などはほとんど聞く機会がない彼らにとって、就職活動を見直す良いきっかけとなったようです。

4限は、サービス産業論です。
今年は京成ホテル様から課題をいただいているため、学生がどれだけ集まるか、とても気になっていたのですが、20人程度がとりあえず出席していたので、なんとか形になるなと一安心しました。
しかも前回受講して、今回は単位にならないにも関わらず、5人も経験者が来てくれました。
彼らにはサポーターグループとして、この授業のけん引役になってもらう予定です。

学生にとって、企業の方と真剣に話をし、一生懸命に考えて経営陣にプレゼンすることは、普通はまずありません。そのため、この授業は単位にならないにも関わらず、毎回2回目、または3回目という学生がいます。厳しいけれど、それだけに楽しさもある、ということでしょうか。

唐突ですが、「過去に戻れるとしたら、何歳くらいに戻りたいですか?」
この質問に対して、人は2種類に分けられます。
過去を振り返って、ある時点に戻りたいと考える人と、過去よりも現在、そして未来のほうがいいはずと考える人です。
私自身は、過去より現在のほうがいいので戻りたくない人間です。若い頃ももちろん楽しかったですし、そのときはそのときで現在を選択したでしょう。
ある程度年齢を重ねてきた今、若さを取り戻したくないのかと問われれば、取り戻したいと感じるときもあります。しかし、経験を通じて智恵を獲得した今の自分のほうが、若い頃に比べてずっと良いと考えます。もし今の智恵を持ったまま若くなれるのであれば、それは若い頃に戻っても良いかもしれません。今とは全く異なる人生があるかもしれませんから。

私は、学生には過去を振り返るような大人になってほしくありません。
過去を振り返るとは、現在の自分より過去の自分のほうが幸せだと言っているようなものです。未来は自分で切り開くもの。一生懸命に何かに取り組んでいる現在が、未来を作るのだということを、授業を通じて理解してもらいたいものです。

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