【東野 圭吾】 「ラプラスの魔女」

東野 圭吾 作家デビュー30周年記念作品だという「ラプラスの魔女」読了。

”これまでの私の小説をぶっ壊してみたかった。”と帯にありましたので、どんなふうにぶっ壊したのか、大変期待して手にとりました。

が、なんだかな~、という印象です。

東野作品らしい、とてもよく考えられたストーリーであり、サイエンスフィクションだと思います。

なんですが、少々喰い足りない、と感じました。

(ここからネタバレなので、これからお読みになる方はよまないでくださいね)



本書のテーマは脳、ブレインです。

人間の脳は、今でも最大のフロンティアなので、日々研究が進むとともに、謎も多いです。

なので、昔からSFでは、脳をテーマにした小説が多く存在します。
現在放映中の、ダニエル・キイス原作の「アルジャーノンに花束を」も古典として有名です。

そういうジャンルの一作として本書を見てしまうと、脳にどんなものを移植したのかという説明が不足していて、読み手の好奇心が満たされません。小説としての奥行きがないように感じてしまいます。

どうしてガン細胞を移植するのだろう?
どんな装置が埋め込まれるのだろう?

そんな疑問を持ながら読み進めていましたが、その回答は得られませんでした。


一方、ミステリーといて本書を読んでも、東野作品らしいスピード感が感じられない。
簡単に書くと、ドキドキしないのです。

達人の手による文章なので、どんどん読み進められます。
たぶん、一気に読めます。

でも、一気読みしたくなる作品ではないのです。勢いが感じられません。

ちょっと残念でした。



ラプラスの魔女

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