「天佑なり 高橋是清・百年前の日本国債
夏に文庫版を購入してから読了まで2カ月かかってしまったのですが、その間にNHKで「経世済民の男」というドラマシリーズ(全5回)が始まり、トップバッターとして高橋是清が登場しました。
オダギリジョーの高橋是清は、なかなか良かったです。
そして、私のなんとタイミングの良いことか!
本書を読み終わる前に、ドラマで予習ができました。
本書のタイトル「天祐」とは、天の助け、という意味。
高橋是清は、その生涯で7度の大蔵大臣を務め、2・26事件で暗殺された、金融界出身の政治家です。政治家になりたくてなったわけではない、当時の日本では、替わる人がいない逸材だったために、結果として政治にも足を踏み入れてしまった人物でした。
是清の人生は、日本の苦しい財政を救うためにあったのではないか、と思えるほどです。
銀行の取り付け騒ぎの起きた昭和2年に、片面だけ印刷した日銀券を発行し、恐慌を乗り切ったことや、その後に起きた世界恐慌から、金本位制を離脱することでいち早く経済回復を遂げるなど、柔軟な経済政策によって何度も日本を助けました。
なかでも有名なのは、日露戦争の戦費調達のために外債発行です。
ロンドン金融界を舞台に立ち回り、当時の金額で10億円近くを集めることに成功します。
ドラマのなかでも、このくだりは時間を割いて描かれていました。
こんな是清の人生を描いたのが本書です。
子どものころから、横浜の外国銀行でボーイと呼ばれる下働きをつとめ、アメリカに留学。
江戸幕府が倒れたことを知り、密航して帰国。その後は森有礼に助けられながら、英語の会話力うを武器に仕事を得ていきます。
しかし順風満帆というわけではないのが是清の人生で、前半生の経験が、日本を代表する金融マンとしての是清を作っているようです。
テンポよく展開するストーリー、歴史を経済という視点からとらえた本作は、歴史が好きな方はもちろんですが、お金の話が好きな方にもおすすめです。
天佑なり (上) 高橋是清・百年前の日本国債 (角川文庫) | ||||
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天佑なり (下) 高橋是清・百年前の日本国債 (角川文庫) | ||||
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さて、ここからは、少し違った視点から、本作を見てみます。
今年になって、本格的に十系数氣法という姓名判断の鑑定法を勉強しています。
十系数氣法は、長谷川公哉先生の30年以上に及ぶ経験と、2万人以上の鑑定歴から導き出した鑑定法で、数字の組み合わせによって性格や運気を読んでいく、というものです。
長谷川公哉先生公式サイト
本作は史実に基づいて書かれているので、高橋是清の人生を、十系数氣法から読み直してみました。
まず、高橋是清、という名前から。
画数が正しくないとすべてが違ってしまうためです。
そこで、高橋是清のお墓の写真を探しました。
すると、お墓には「髙橋」とありました。
髙橋 是清 47画
お話が上手で商才のある社長タイプ。
リーダーシップのあるやり手、責任感の強い先生タイプでもあります。
オリジナリティがあります。
また確認してから行動する方で、儲かるものに手を出す方です。
ある意味、詐欺師的な才能があります。
十系数氣法では、是清は上記のような人物になります。
ここからは運気です。
十系数氣法では、運気は姓名の総画数と和暦の年数を足した数字から読み取ります。
下ヒトケタの数字からそのときの運気を読み取ります。
0 = リセット、新しいステージの始まり
1 = 種まき、方向付け
2 = 悩み・迷い、荷をしょわされる
3 = 生産、学び、賛同
4 = 障害、トラブル、試験
5 = 完成、結果、解決
6 = 休息、再スタート
7 = 出費、放出
8 = 社交、援助
9 = 整理・マネジメント
これらから、是清の人生を見てみます。
明治22年 ペルー鉱山会社社長となる 【9 整理・マネジメント】
- ペルーでの銅山開発は大失敗し、是清は責任を取って私財で会社負債を充当します。そもそも好きでペルーに行ったわけではありませんが・・・。
明治28年 横浜正金銀行本店支店長となる 【5 完成】
明治30年 日本公債発行調査のため渡欧 【7 出費】
明治32年 日銀副総裁 【9 整理・マネジメント】
- 是清は明治33年から34年は銀行の経営難に対応し再建ルールを作ります。
明治33年 本所押上から赤坂表町に転居 【0 リセット】
明治37年 日露戦争のために外債募集財務官となる 【4 障害】
- 日本という弱小国が外債発行などできるはずがない、と思われていた当時のこと、是清の旅立ちには暗雲が垂れ込めていました。
- 4月、公債発行にこぎつける 【8 援助】
- 5月、仮契約晩さん会で、公債発行のキーマン、ジェイコブ・シフと出会う、新発日本公債募集開始 【9 整理・マネジメント】
- 11月、第2回募集開始 【5 完成】
明治38年 【5 完成】
- 3月、第3回公債3千万ポンドの外債発行 【8 援助】
- 7月、第4回公債3千万ポンドの外債発行、英国王エドワード7世に拝謁 【2 悩み】
明治44年 日銀総裁になる 【1 方向付け】
大正2年 1度目の蔵相就任 【9 整理・マネジメント】
大正7年 原内閣で2度目の蔵相となる 【4 障害】
大正9年 戦後バブル崩壊 子爵になる 【6 休息・再スタート】
大正10年 原敬暗殺され、首相(蔵相兼務)になる 【7 出費】
昭和2年 4度目の蔵相就任 【9 整理・マネジメント】
- 4月、片面印刷の日銀券発行 【3 生産】
昭和4年 是清の一代記が朝日新聞で連載スタート 【1 方向付け】
昭和6年 世界恐慌 5度目の蔵相就任 【3 生産】
- 円の切下げ実現、金本位制からの離脱
昭和7年 6度目の蔵相就任 【4 障害】
- 赤字国債発行(歳入補てん公債法の公布)、不況から脱出
昭和10年 7度目の蔵相就任 【7 出費】
昭和11年 【8 援助】
- 2月、暗殺される 【0 リセット】
こうしてみてみると、普通なら栄光ある公職に就いた年が、9や4の年が多いことがわかります。
これは、是清が自ら望んで得た職ではなく、周囲から求められて就いているためだと思います。
日本国債を発行するめどもなく、渡欧する明治37年はまさしく【4 障害】の年でした。
しかし、このときの経験と知り合った人々から得た信頼から、翌年は大規模な起債が可能となりました。
是清の運気が悪いとき、それは日本経済が瀕死のときであり、その回復のために働かされたのが高橋是清という人物だったのだと思います。
高橋是清自伝 (上巻) (中公文庫) | ||||
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高橋是清自伝 (下巻) (中公文庫) | ||||
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