「工学部ヒラノ教授の事件ファイル (新潮文庫)
月曜は大学なのですが、テスト日だったので、時間つぶし読書用として購入しました。
眼についたポイントは、「工学部」と「事件ファイル」です。
理系のお話はおもしろいですし、事件ファイルなので、何か事件が起きるのだろう、と思って何も見ずに買いました。
読み始めて驚いたのは、本当に工学部教授だった著者の経験譚だったこと。
海外出張申請後に、トラブルで行けなくなり、1週間自宅で隠れて過ごしたことがあるとか、ウィーンに派遣されていたときに、派遣された国以外に出かけてしまったこととか、やってはいけないのだけれど、やってしまったことがいろいろと書いてあります。
なかでも面白かったのは、筑波大学での様々な出来事です。筑波ご出身の方にはぜひ読んでいただきたい、黎明期の工学部のことが裏も表も出てきます。
大学というところは、文科省やら経産省やらの思惑の上に成り立っているので、教官が右往左往させられるところです。
国の将来を左右しそうもない文系とは異なり、理系の皆様の誇りと責任感あふれる言葉が、あちらこちらに出てきます。
理系を希望する人が少なくなってきていることへの危惧はあちらこちらから聞かれますが、本書でもその種の言葉が表されています。
文庫版では、STAP細胞で話題になった理研のことも書き加えられています。
研究者としての問題、組織としての問題など、指摘されていますので、ご興味のある方にはおススメです。
ヒラノ教授はシリーズ化されているようですので、見つけたら、また読みたいと思います。
工学部ヒラノ教授の事件ファイル (新潮文庫) | ||||
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