「巨大通信ベンチャーの軌跡 ブロードバンドをめぐる攻防」を読了。
著者はアッカ・ネットワークス創業者で、元通産官僚。官僚をやめ、創業者となった、まさしく軌跡を描いたもの。
著者が強調しているのは、天才起業家はほとんど存在しないからすべて自分で決めるような冒険はしないで、適材適所を徹底すること、という当たり前の事実です。
しかし、起業家や創業者の多くは、この当たり前のことがわからなくなり、すべてを自ら決定し、代表取締役社長という地位に甘んじてしまうのではないでしょうか。
この点において著者は明快な哲学を持っていますが、だからこそイーアクセスに買収され、解体されてしまう結果を招いたのではないかとも思いました。経営者としては、正直すぎる、真面目すぎる、潔すぎる、という印象を持ちました。
経営は、そんなにかっこいいものではないと思います。
私の、ビジネス上のアドバイザリーボードともいうべき方が第一線で活躍されていた頃、「”だまされた”といって、自分の負けを相手のせいにするような発言をする人がいるけれど、ビジネスパーソンなら誰だって相手の上手をとろうとするものだ。結局はだましあいだし、人間はエゴの塊だから、ビジネスは正しいと信じる方向に進まないことばかりだ」とおっしゃっていることを思い出しました。
ただし、ベンチャー企業のコンサルをしていて日々感じることの多くを、著者は指摘してくれています。
たとえば、「伸びしろのある人材を集める」とか「ベンチャーだからこそ社内プロセスが必要」といった事柄です。
「何を今更・・・」と思われる経営者の方には、特にお勧めします。
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