【カズオ・イシグロ】 わたしを離さないで





現在ドラマ放映中の「わたしを離さないで」の原作を読了。

カズオ・イシグロの作品の中でも、世界中で読まれた本作が、日本に場所を置き換えてドラマ化され、ただいま進行中です。



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世界中で読まれた衝撃の作品

恥ずかしながら、カズオ・イシグロの作品を読むのは本作が初めての私。

まずストーリーテリングのうまさに驚きました。

著者紹介の中に、大学院で創作を学ぶ、とあるので、作家になることを早くに決めて、そのために学んできたことがわかります。

世界中で読まれたというのも納得。
衝撃のストーリーであり、純愛物語なのでした。


ドラマと原作を比較すると?

ドラマのほうでは、すぐに臓器移植のためのクローンが主人公であることが明かされてしまいますが、小説のほうでは相当読み進めないと、それがわかりません。

まだ第3話までしか放映されていませんが、ドラマでは、小説では描かれていない部分をドラマ化していくのかな?と感じました。

主人公のモノローグで進行する小説と人間関係を網羅したドラマ

小説のほうは、綾瀬 はるか演じるところの主人公の独白で語られるため、主人公が見聞きしていない部分は小説に登場しません。

ドラマでは、水川 あさみ演じるところの、主人公と一緒に育った親友でもありライバルと、主人公がひそかに心を寄せていて両想いだったはずの癇癪持ちの男(三浦 春馬)とが、なぜつきあうことになったのか、が描かれていました。

結構重要なこのエピソードが、小説ではすっぽり抜け落ちています。
主人公のあずかり知らないことだからですね。


「わたしを離さないで」あらすじ

本作はすでに多くの方に読まれていると思いますので、ささっとあらすじも書いてしまいますが、臓器移植のために「作られた」クローンたちの短い人生を描いたもの。

一般にはクローンに対して教育を十分に施されていないのですが、主人公等が育った場所は、クローンにも人間的な情緒があると主張する団体が運営する施設。

そのため、教育が芸術に傾倒したものになっていて、優秀な作品は「展示館」と呼ばれる場所に収納されます。

物語の後半に、なぜ芸術教育が強調されたのか、なぜ作品が集められていたのか、がキーとなり、移植が猶予される3年間を巡ってストーリーは進みます。

ドラマでは、子どもたちの着ている服やモノが、古びたリサイクル品であることを強調していますし、グレー一色の世界として描かれています。
クローンは貧しいのが当たり前、という世界観が見て取れます。

臓器移植の提供者となるために生まれた彼らは、外の世界を一切知らされずに育ちます。彼らにとって、いびつであろうとなかろうと、自らが育った場所と環境がすべて。

少ない登場人物の濃密な人間関係が詳細につづられていることで、読むほどに、クローンとして生まれた彼らの人生を追体験させられているように感じます。

一気に読めるサイエンスフィクションです。
おススメです。


さて、原作の世界観をベースにしたドラマのほうは、これからどんな風に進んでいくのでしょうか。

なにしろ主人公の知らないことがドラマでは描かれていますから、原作にはないエピソードがこれからもどんどん出てくると思います。

今期のドラマの中でも、ちょっと目が離せないですね。


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