【2020年11月に観た映画】『罪の声』『ドクター・デスの遺産-BLACK FILE-』

11月は、小説を原作とした映画を観に行ってきました。

『ドクター・デスの遺産-BLACK FILE-』のあとは中華



『罪の声』

投資金額:1200円

塩田武士さんの小説『罪の声』が原作の映画。


脚本は、ドラマ『MIU404』の野木亜紀子さんです。

実は、原作の『罪の声』は、4月下旬くらいに読了しています。

読んだ本のレビューも、別のブログで書いていますが、『罪の声』は、あんまり書きたくなかったので、書いておりません。

その理由は、最後に新聞記者が、イギリス・ヨークまででかけて、犯人のひとりと対決するくだりが、冗長というか、読んでいてかったるいというか、最後まで楽しめなかったからです。

つかみはOK、というか、かなり良いと思います。

「グリコ・森永事件」に、実際に登場してくる子どもの声に着目し、戦後最大の事件に巻き込まれ、その後の人生が狂ったであろう子どもを描いているからです。

原作の『罪の声』は、半分くらいまではどんどん引き込まれていく展開なのですが、後半が、なんとなくダレっとしてしまっている印象なのです。

ところが、映画の方は、ほぼ原作通りの展開なのですが、緩急があって、最後にハッピーエンドを用意してくれています。

原作には、ここまでしっかりとした描かれ方がなかったと思うのですが・・・?

原作となる小説を読んでいると、脚本家の力を見せつけられる映画やドラマがありますが、映画『罪の声』は、そういう作品の一つかもしれません。


『ドクター・デスの遺産-BLACK FILE-』

投資金額:1500円

中山七里さんの小説『ドクター・デスの遺産』を映画化したもの。


とはいうものの、原作と映画は別物、と考えたほうが良い作品です。

原作では、犬養隼人が、深刻な病状の娘を囮につかって、ドクター・デスをおびき出すという作戦を取るのですが、映画では、犬養隼人の娘に直接コンタクトしたドクター・デスが、娘を暗示にかけて、安楽死を決めさせています。

原作は、ドクター・デスの罪状を掘り起こし、その合間に安楽死の是非についての議論が挟み込まれていて、どちらかといえば静的な作品です。

いっぽう、映画のほうは、-BLACK FILE-というサブタイトルが示すように、ドクター・デスの側をより明確に描き出していて、安楽死の是非についてはまったく触れられていません。

原作では、最後の最後にドクター・デスの正体が判明するのですが、映画では、中盤でわかってしまいます。

そういう意味では、中山七里さんの原作の良さ(大どんでん返し)を、かなり殺してしまっているように感じました。

原作のままに映画にする脚本ができなかったのか、それとも、動的な作品にしたかったのか?

仮に、ドクター・デスの側の物語とするなら、最初からドクター・デスの視点で描いたほうが良かったのではないでしょうか。

というわけで、ちょっと残念な展開になっているのですが、今後も、犬養隼人シリーズで映画を作りたいのかもしれず、それを見据えての構成なのかも知れず・・・?

ところで、最近のドラマとか映画のなかで、ときどき腑に落ちない行動をみかけます。

代表的なのが、恋愛系に多い、急いでいるのに走る、という場面です。

本当に急いでいたら、タクシー呼ぶよね、普通。

スマホで簡単に呼べるし。

さらに、刑事モノなのに、警察力とか文明の利器を活用していない場面も多いですよね。

最近のドラマのなかでは『未満警察 ミッドナイトランナー』が、けっこうイライラしたかな。

証拠物は、まず写真にとっとけ、スマホ持ってるだろ、スマホつかえよ。

という場面が多くて。

今どきの若者らしくない、機転のきいていない脚本でしたね。

『ドクター・デスの遺産-BLACK FILE-』では、とくに次の2点が気になりました。

ひとつは、犬養隼人の娘が病院を抜け出したことがわかったときの対応です。

娘から異常を発する電話があったら、即座に病院に連絡して、病院関係者に探してもらうほうが早いはず。

なのに、電話せず、直接出向いて、犬養隼人が探し回ります。

いかに娘のこととはいえ、冷静さにかけていて、とても刑事とは思えないです。

さらに、犬養隼人が、娘を探して、家族の思い出の場所に一人で行ってしまうわけですが、警察ならNシステムで行き先の検討くらいつくのでは?

それとも、リアルタイムでは対応していないのか?

Nシステム、5Gで実装されないとダメとか?

などと、映画を見ながらツッコミを入れてました。

結局、犬養隼人のバディ・高千穂明日香が記憶していた場所だった、というオチなのですが、こんなことで良いのか、警察。

ふたりの絆は理解できましたが、探偵事務所じゃないよ、と言いたくなりそうな展開です。

この映画は、レディースデーで十分だったと思いました。


今月は、ほかに『十二単を着た悪魔』を観ようかと思っていましたが、酷評されていたので、やめます。

11月の映画は以上です。


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