チーム・バチスタの栄光


チーム・バチスタの栄光(上) 「このミス」大賞シリーズ (宝島社文庫 599) (宝島社文庫) 」を読了。
発売当初から話題だったので読みたいとずーーっと思っていたのですが、昨年12月までドラマを見てから本書を手にしました。正直なところ、ドラマの出来のほうが良かったですね。キャラ設定がこの物語の出色の点ですが、ドラマのほうが一層際立っていたことと、ストーリーの構成も重層的で面白かったです。
小説のほうは謎解き部分が終わった後に、いわゆるエピローグ部分が長く、ミステリーを読みつけている人には退屈です。
著者は医師なので、事件後の後片付けに関する部分を実は描きたかったのかもしれませんが、ドラマではその点をうまく描けていないようでした。とはいえ、この小説が発表された当初よりは医師不足などの問題がクローズアップされているので、あえてドラマでは省いた可能性もあります。

また、この小説にシリーズがあったことを知り、フジテレビはシリーズ化するつもりなんだろうな、と感じました。最終回では、田口が白鳥のアシスタントに正式任命されるくだりがあり、そういう雰囲気を醸していますし。ドラマのファンとしては続きが見たいです。

さて、昨今話題の医師不足ですが、これは単純に医学生を増やして医師になれる人を増やしたところで解決しないのではないかと感じています。
理由は、
1.医師は自らの専門を自らが決定できるためにお金になるジャンルで開業できる
2.医師の業務範囲が広すぎる
の2点です。

1は、皮膚科医と称して美容系に進む医師が増えてきていることに代表されますが、給料の安い勤務医や産科・小児科等の訴訟リスクの高いジャンルが敬遠される傾向は変わらないでしょう。誰だってリスクが低く、高収入な職業を選択するはずです。医師不足と言われながら、都内では右も左も歯科医の看板という場所が少なくありません。中には審美歯科とはっきり掲げているところもあるくらいです。これだけ乱立してしまえば、歯科医はお金になるのはいまや昔のようですが、そういう傾向があったからこそ歯科医を選択した時代があった結果でしょう。

2は、特に美容系に顕著なのですが、完全脱毛を行いたいと思ったら医師に頼まなければなりません。エステ関係者から聞いたので間違いありませんが、エステサロンにある脱毛機器は、効果がないものに入れ替わってしまっています。ですから薄くはなるかもしれませんが、脱毛効果はあまり期待できません。完全脱毛ができるニードル(いわゆる針)を使った脱毛機器が当初流通していたのですが、針のついたものを扱うのは医師でなければならない、とされてしまったためです。これは、施術後にやけどができるなどの事故が起こったことにより医師の介入を許してしまった結果ですが、血が出たり、針を使ったりすることに医師またはそれに類した有資格者しか認められていないことから、1に医師が流出することにもなっていると思います。

医師不足 → 学生増やす → 医師増える といった簡単な図式ではないことは確実なので、医師の待遇についてもっと考える時期にきていると思います。まじめで責任感の強い人間が貧乏くじをひくような仕組みでは、さらに混迷していくでしょう。