用心のコスト

昨日のTechCrunch Japanに「用心のコスト」という記事がありました。
そのはじまりは刺激的で、しかも今の日本人にとっては魅力的なフレーズで始まります。

官僚主義がイノベーションを妨げる。みんな知っていることだ。しかし、それはなぜだろうか。理由のひとつは、官僚主義が、用心深さから、即ち過去の失敗を繰り返してはならないという強い意志から生まれたたものだからだ。

アメリカでは、SOX法が新規IPOを妨げているとして廃止を求める動きが出てきているようですし、日本でも官製不況の例として、例の耐震強度問題以降の建築確認などがあげられます。
これは民間であっても同じことですよね。仕事のために仕事をつくる。
私はサービス業の企業とおつきあいがありますが、現場の担当者がクライアントや顧客とのトラブルを避けるために、本来必要のないチェック業務を行っているという場合が度々あります。これも用心のコストなのでしょうが、無駄な人件費を投入しているように見えます。

インターネットを利用し、オンラインサービスを利用していると、こういう用心のコストを意味している文章に出くわすことが多々あります。利用規約には、考えられるトラブルを防止または抑止するための言葉がちりばめられています。
しかし私たちはこれを十分に読まずに「Yes」をクリックしてしまいます。これは、運営者または運営会社が、自らをトラブルから守ってくれる、と安易に信じているからだと思います。
運営者側になって考えれば、快適なサービスを提供するためには用心のコストが発生することも致し方なし、という考え方に陥ってしまうかもしれません。

サービス業に携わっている方の多くは、顧客満足という言葉に惑わされ、用心のコストを積み重ねがちです。しかし、サービスにも上限があるはずです。わずかな顧客の無理な要求を呑むことが顧客満足でしょうか?
提供するサービスにも人件費というコストがかかっていることを考えれば、提供するサービスの内容と品質、そして価格を厳密に定義する必要があると考えます。

日本のサービス業の労働生産性は米国の6割という評価があります。

なるほど!訪日外国人の6割が感動した日本の魅力 悩みは労働生産性が低いこと」より。


なかでもビジネスサービスは最低の労働生産性です。
これは、完璧なオペレーションに心を砕くあまり、用心のコストを積み上げすぎているためではないかと推測します。