容疑者Xの献身


映画もヒットしている「容疑者Xの献身 (文春文庫 ひ 13-7) を読了。
東野作品を続けて読みましたが、「流星の絆」もこの作品も、作中人物と読者がすべての結論に行き着くスピードがほぼ同じという点で、構成力というかプロット作りの巧緻さを感じます。
さすが理系出身作家!
プロットがチャート化されているような印象を持ちました。

作品は以前から”傑作”と評されていた通りの内容でした。人間が人を愛するということにここまで純粋に、しかも深くなれるのか、という1点に疑義を挟ませないための設定が、天才数学者だったのかもしれない、と感じました。
とにかく自然で読者のが、そういう風に考えるだろうな、と思わせる筆力が圧巻です。
いわゆる”ガリレオ”シリーズを彩る、科学的なトリックがない点も人間ドラマとしての面白さを際立たせています。もしかすると、”ガリレオ”湯川学の人間性を深く表現するために存在する作品かもしれませんね。

映画では数学者を堤真一が演じているようですが、小説とのギャップがあまりにありすぎです。映画は見ていないので失礼かもしれませんが、小説の説得力がどれだけ表現されているのか、少々疑問が残ります。近いうちに映画も見ておきたいですね。