虚構金融


虚構金融 (文春文庫)」を読了。久しぶりに小説を読みました。
本書のテーマは、米国債です。
日本が米国債を大量に買い付けていることは良く知られていますが、その金額が尋常ではない、もしくは国民が知らない間に100兆円を超える規模で買い進められている、という真実を求めていく過程で、複数の殺人が起こる、というストーリー。

主人公は特捜部の検事なのですが、事実上の主人公といってもいいのが、登場早々に殺される財務省の官僚です。政治家と官僚の関係については、「政策論争のデタラメ」の中にも記述があるのですが、これと全く同じような内容がこちらの小説でも展開されます。

「政治家にとって官僚は使い捨ての駒。また官僚も、政治家はすぐに代わる一過性の上司としか思っていない。内心は馬鹿な奴だと思っているだろう。両方が似たようなことを考え、利用しあっている。日本の政治形態の最大の弱点だ」。

本書は米国債の話ですが、最近は日本国債の大量発行を含めて、話題に事欠きません。
たとえば、ダイヤモンドオンラインでは、「米国の大物経済学者が警鐘! 「世界経済危機の第二波が近づいている ケネス・ロゴフ ハーバード大学教授(元IMFチーフエコノミスト)に聞く」では、先進国におけるデフォルト(債務不履行)が起こってもおかしくない、という発言が見られます。

米国の最近の債務残高増加ペースは過去に比べて、2倍のペースで突き進んでいる(今年9月までの2009年会計年度の財政赤字は、前年度比3倍超の1兆4171億ドルという史上最悪の水準にまで膨れ上がった)。

ちなみに、日本も過去に何度かデフォルトしている。著書でそう言及したところ、ある日本政府高官から「日本はデフォルトしていない」と訂正を求められたが、データを示したら納得してくれた(たとえば、1946年、預貯金はいったん封鎖され、封鎖預金からの払い戻しは新円で、限度は世帯員1人について100円とされた)。

デフォルトというと、対外債務ばかりを想像しがちだが、対内債務のこの種のデフォルトまで含めて考えれば、大国の債務不履行はあり得ないとは断言できない。

まず、現実を直視することだ。現実とは、今後10年以内に、多くの国が、大幅な増税、インフレ、実質的な債務不履行などを経験するだろうということだ。このようなときには、とにかく経済構造改革に全力を尽くすべきである。

日本政府に対して二つのアドバイスをしたい。ひとつは、国債の満期構成を長期化させることだ。繰り返すが、危機は来る。短期金利が実質ゼロだからといって、短期でつなぐ誘惑に負けてはならない。たとえ高くついたり、一時的に財政赤字の拡大を招いたとしても、満期構成の長期化は危機の第二波に対する安い保険となる。
第二に、2%程度のインフレを目指すべきだ。債権者に下落した通貨価値での返済を押しつけるインフレは、債務問題のフェアな解決法とは言えないが、債務負担を軽減させる有効な手段であることは明らかだ。


もし日本がこの小説に書かれているように、秘密裏に巨額の米国債を買っていれば、国内だけでなく対米国においてもデフォルトに合う可能性があります。

経済問題は身近であるはずなのに、理解しにくいです。こういう小説に書かれていることの多くは真実ではありませんが、少しは役に立つかもしれません。