東日本大震災のとき、福島第一原発では何が起こっていたのか?が描かれたドラマ『The Days』を観ました。
ドラマは、事故調査報告書、吉田所長レポート、そして門田隆将さんの『死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発』がベースとなっているようです。
原発事故直後の混乱
映画『Fukushima 50』や、NHKが制作したドラマなども観ていますが、今まで観た中では、もっともリアルな印象を受けました。
『The Days』では、登場する人物のひとりひとりが、その場で自分ができることを、精一杯やっている姿が描き出されます。
感情的になってもおかしくない状況のなか、淡々と作業する姿が印象的です。
ときに絶望的になってしまうのですが、そんなときに、自衛隊をはじめとする人々が決死の覚悟で協力してくれるのです。
もっとも感情的なのは、官邸であり、総理なのですが、何もわからない状況で国の舵取りをするわけですから、喚き散らしたくなるのもわからないではない、というか・・・。
東電の本部も同様で、現場の混乱を知らないために無茶を言う。
原発を動かし、日々メンテナンスしていた人々でさえ、何が起こったのかわからない、手探り状態にあるなか、本社や官邸にまで、正しく情報をあげるのは至難の技であったろうことが、この『The Days』をみると、よくわかります。
的はずれなマスコミやネット情報
『The Days』には、勝手な憶測を垂れ流すマスコミやネット情報についても、少しですが描き出されています。
当時の状況を思い出しながら観ましたが、今では的外れだったのだろうと思われるニュースに、一喜一憂していたように思います。
どちらかといえば、マスコミやネットは、良い情報よりも、悪い情報のほうが長時間使われていたように思います。
最近読んだ記事で、SNSを設計した人々は、都市伝説とか陰謀論が好きな傾向が強いのだそうです。
だから、そういうものがネットでは好まれるのではないか、という趣旨でした。
人間の本能として、自分以外は全部「悪」みたいなところはありますから、悪い情報ほど鵜呑みにしてしまうのかもしれません。
立場の違いはあれど、誰もが120%がんばった
『The Days』全編を観ると、誰かを悪者にしようという意図がないとわかります。
わからないなりに、誰もが国のことを思い、郷土のことを思って、自ら行動したということが描かれているからです。
今でも、東電は裁判の途中にあり、経営責任を問われていますが、吉田昌郎所長がいなかったら?
全電源喪失のなか、車のバッテリーをつないで電源としたり、水が足りないなら海水を入れるという判断を、誰よりも早く決断し実行したり。
当時、吉田昌郎所長が指揮をとった結果、最悪の事態は免れた、といっても良いと思います。
その場にあるもの、いる人だけで、何ができるのか。
アイデア豊かな吉田昌郎所長がいたからこそ、日本の国土は守られたといえるのかもしれません。
しかし、『The Days』をみると、吉田昌郎所長はつねに淡々と対応し、周囲の人々への感謝を忘れない人物だったようです。
吉田昌郎所長は、2013年にガンのために亡くなっていますが、彼があの場にいなかったら、今も東京に国会があったかどうか・・・。
誰もの120%以上の力を発揮していた現場の様子を切り取ったドラマだと感じました。
ぜひ観てほしいです。
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