【Netflix】『僕だけがいない街』

僕だけがいない街』は、最初に藤原竜也さん主演の映画を観て、つぎに古川雄輝さん主演のドラマ版を観ています。


今回は、アニメ版を観たついでに、ドラマ版、映画と続けてみてみました。

つまり、ドラマ版と映画は2回観ていることになります。


ただ、コミック原作は読んでいないので、映像化されたものを観た感想になります。




アニメ版とドラマ版は終わり方が違う

アニメ版とドラマ版は原作に近いのかもしれませんが、アニメ版をみてからドラマ版をみると、使われているセリフが同じか、すごく近い言葉なので、とても似ています。

ただ、ドラマ版の制作予算の関係なのか、途中の展開に多少の違いが見られます。

たとえば、バイト仲間で藤沼悟を助けてくれる片桐愛梨は、アニメ版と映画版では、どちらも放火されますが、ドラマ版では2階の部屋から突き落とされるという展開です。

とはいえ、ストーリーの展開に違和感はあまり感じません。

終わり方も、アニメ版と映画版は、どちらも屋上で対決となりますが、ドラマ版は、藤沼悟が2度めの昏睡状態のあとに、八代学(西園学)と対決するという展開なので、ドラマ版が原作コミックを踏襲しているといえます。



映画版では悟が死亡

久しぶりに映画版を見直して、藤沼悟が死亡するといいうラストは、ちょっといただけないな、と感じました。

初めて映画版をみたときも、話題作のわりにあっけないラストだな、と感じたことを思い出しました。

数年後、ドラマ版をみて、「ドラマのほうがおもしろい」と感じたことも思い出しました。

なんで、悟を死なせてしまったのでしょうか。

タイムリープしてまで、人生をやり直したのに、このラストはないわ~、と思います。

アニメ版とドラマ版に共通するのは、悟が自分の人生を切り開いた結果、漫画家として成功している姿なので、原作の趣旨とは違うという印象です。



友だちから仲間へ

単なるクラスメイトから、一生つきあえる仲間を得られたことが、悟を大きく変えるわけですが、映画版は時間の関係上なのか、このあたりの描き方が薄いです。

アニメ版とドラマ版は、このあたりの展開をきちんと描いていて、生涯の仲間ができてくる過程がよくわかります。

僕だけがいない街』は、タイムリープによって人生を切り開く物語なので、同じタイムリープものの『東京リベンジャーズ』を思い出します。


東京リベンジャーズ』でも、何度もタイムリープを繰り返し、少しずつ現実を変えていきますが、その過程で仲間関係が強固になり、関係性が少しずつ変わっていく様子が描かれてもいます。

そういう視点が、映画版では希薄なのだな、と感じます。



藤沼悟と八代学(西園学)

関係性は異なりますが、藤沼悟と八代学(西園学)の関係についても、アニメ版やドラマ版のほうが良いと感じました。

とくにアニメ版は、八代学(西園学)が悟に執着しているという設定が描かれていて、よく理解できました。

映画化された『死刑にいたる病』は、シリアルキラーの男が、かつて狙っていた獲物たちを言葉で翻弄します。


それは、死刑が確定して、外にでることのできない犯人にとって、最高の遊びであり、娯楽になるのですが、その根底には、獲物たちへの執着心があります。

僕だけがいない街』も、シリアルキラーを描いている点において、犯人が獲物たちに執着していると考えると、アニメ版がもっとも適しているラストだと感じました。

何度も映像化されている作品を、このように比較したのは初めてですが、視点が違うと出来上がりがこんなに違うのか、と、今回改めて感じさせられました。


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