テオ・ヤンセン展@アクアマリンふくしま

2018年3月3日から5月6日まで、福島県いわき市にある「アクアマリンふくしま」でテオ・ヤンセン展が開催されると知り、3月4日に行ってきました!

砂の上を歩く造形物の様子を、ご覧になった方も多いと思います。






テオ・ヤンセンとは?

彫刻家とされるテオ・ヤンセン(Theo Jansen)さんは、もともとは物理学を学んでいた方です。

画家になり、1990年に「ストランドビースト(Strandbeest)」を発表して以降、世界中から注目を集めているアーティストです。

ストランドビーストとは、オランダの砂浜を歩く怪物という意味だそうですが、オランダの砂浜は、海岸線からの奥行100メートルが10キロ以上つづく、とてもおだやかで平坦な場所なのだそうです。

最初は、そんなオランダの砂浜を歩かせるため、風力やペットボトルの空気圧(1本あたり3気圧ほど)を動力にして動く作品が中心でしたが、世界中で展覧会を開くうちに、平坦ではない場所でも動く作品をつくるようになったそうです。



NASAも注目するストランドビースト

宇宙に大きな造形物を運ぶときに、日本の折り紙の技術が研究されていることをご存じですか?

地球上ではコンパクトに折りたたんで打ち上げ、予定された宇宙上の位置に落ち着いたら、折り目を開いて、元の形に戻すというものです。

NASAでは、この折り紙(Origami)の技術をつかって、直径25メートルのパネルを宇宙アンテナに利用する研究が進んでいます。

「Origami」が宇宙へ、折り紙の技法を宇宙パネルに応用する研究が進行中

ストランドビーストに対しても、NASAは注目しており、日本にやってくる前にNASAとのミーティングにテオ・ヤンセンさんは参加してきたのだそうです。

テオ・ヤンセン アクアマリンふくしま
ストランドビーストの部材


低コストで打ち上げられ、異世界で活躍できるモノとは?

テオ・ヤンセンさんのストランドビーストの最新作は、風を動力としたものではなく、人が引くことで動くものです。

テオ・ヤンセン アクアマリンふくしま
最新作はすべてプラスティックチューブでつくられています

NASAは金星の探査を計画しており、数百度という高温の金星では、従来の機器類は接地面が溶けたり、高温による障害が起こったりして、まったく役に立たないと考えています。

そこで登場するのがストランドビーストです。

ストランドビーストの最新作では、足がなく、波打ったプラスティックチューブにまっすぐなチューブが組み合わさっているだけのシンプルなもの。

最新作のストランドビーストは、円筒形の筒にコンパクトにしまえるようにすることも可能で、打ち上げコストを低くすることができるのです。

エンジンや特定の動力を持たない構造物が、宇宙で活躍する時代がはじまろうとしているのです。

テオ・ヤンセン アクアマリンふくしま
テオ・ヤンセンさん


物理に興味が持てるテオ・ヤンセン展

風に正対することで動くストランドビーストの解説をきいて、ヨットを思い出しました。

地球の自然を味方にして、大きな力を得てきた人間の知恵は、物理学としてその原理が説明されます。

物理学を研究していたというテオ・ヤンセンさんの作品を見ると、理科の時間に学んだ知識が思い起こされ、科学への興味がふくらみます。

テオ・ヤンセン アクアマリンふくしま
アクアマリンふくしまに展示されたストランドビースト

テオ・ヤンセン アクアマリンふくしま
ストランドビーストの系統図


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