大学卒業後、すぐに起業した「新卒社長」の共通点




昨日も、若くして起業した方にお目にかかりました。

私くらいの年齢になると、アラサーで十分に若いのですが、昨日お目にかかった方はなんと24歳!

大学中退して起業しました。

甥や姪が同じくらいなので、ひと世代違います。

最近では、20代で起業することをおすすめする書籍なども増えてきていて、社畜になるくらいなら独立・起業しようという人が増えているみたいです。

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わたしは、社長とか起業家に取材して文章を書くということを、かれこれ20年以上続けていますが、起業・創業した社長は2種類に分類されます。





社会人経験の有無が大きく影響

多いのは、社会人経験があって起業する人です、もちろん。

社会人経験があったほうが良い、という共通認識があるからです。

起業・創業したときの年齢はさまざまで、経験もさまざまなのですが、30歳未満で退職して起業・創業した方にお目にかかることが多いです。

できるだけ若い方に会いたいという、これはわたしのわがままです。

一方で、人数は少ないですが、大学卒業と同時に起業・創業という方もいらっしゃいます。

わたしはこういう方々を「新卒社長」と呼んでいます。

社会人経験のない方々で、学生時代にバイト感覚でやっていたことを本業にした方や、就活に出遅れて自分で何かはじめた、という方もいらっしゃいます。

大卒で即起業、という流れには、就職氷河期世代とも深い関係性があるように思います。


就職氷河期で大きく変わった採用方法と採用基準

世間の共通認識では、第一次就職氷河期が1970年生まれから1982年生まれとされているようですが、わたしの認識では1975年生まれから最近まで、ずっと氷河期だったように思います。

その契機となったのが2000年の「超」就職氷河期の年。

求人倍率が1.0を切って、採用する企業が従来の採用方法を見直したり、採用基準を変えたりということが顕著になったのがこのころと記憶しています。

就職活動が長期化するとともに、面接回数が増加したり、グループディスカッションのような時間のかかる方法がとられるようになりました。

今まで気楽に新卒社員を採用してきた大企業の変化が、中小企業の採用にも影響を与え、その傾向は今でも変わりません。

一昨年あたりから人材不足になってきて、久しぶりの売り手市場となっていますが、このときに変わった採用基準はいまだに守られているようです。

そして、買い手市場が長く続いたことで、内定取り消しなどの理不尽なことが目立ってきたことも事実。

大企業が倒産したり、銀行がなくなったことを知っている学生にしてみれば、我慢して就職することに意味があるのかと考える期間になったことでしょう。

高学歴芸人が増えた背景にも、就職氷河期が無関係とは思えません。


社畜になるより独立独歩の道を選んだ新卒社長

新卒で社長となる道を選んだ人たちに共通しているのは生命力。

「あー、この人は何やってもなんとかまとめそう」と感じるものがあります。

話し方も個性的で、唯我独尊オーラ全開という人や、音楽のようにテンポの良い人など、それこそ千差万別。

共通しているのは、仕事の話をするのが実に楽しそう、なこと。

しかも自信をもって話す人が多い。

社長なんだから当然でしょ、と思う人もいるかもしれませんが、社会人経験のある社長さんだと、口に出す前、発声する前に言葉を選んでいる印象を受けることがあります。

でも、新卒社長の言葉には一切のよどみがありません。

「これが正しい」というゆるぎのない信念があるとしか思えません。


昆虫のように複眼で時代を見る新卒社長

新卒社長の多くは厳しい。

楽しそうに会社経営しているようで、実は見るところを見ています。

特に人材を批評するときは、良いところと悪いところ、どちらも言います。

しかもその言葉には(わたしが聞いて)発見があります。

それは、新卒社長になる方が、ムシのような複眼を持っているからかもしれません。

わたしの出会った新卒社長は、あまり偏った意見を言いません。

「あのひとってこうだよね」という決めつけかたはほとんどしません。

「あのひとはこう言われているけど、それってこういうことなんじゃないですか」と、自分なりの分析をして発言することが多いのです。

それは、常識を疑う目、物事を裏側から見ようとする目、を持っていて、世の中をひっくり返してみたらどうみえるのかを考えている人たちだから。

そんな人だから、就職より起業なんですね。


新卒社長はアーティスト

社会人経験のある社長が実務的だと仮定すると、新卒社長はアーティスト。

芸術家タイプなのでカリスマ性もありますが、わがままな印象を他人に与えることも多いです。

しかし、それもご愛敬のうちで、多くの新卒社長は人を魅了する魅力をたくさん持っています。

そんな新卒社長も挫折するときがあります。

それは、会社が急成長してしまって、自分の意に染まない人材を会社に入れてしまったとき。

会社には、「世の中で言われていることが正しい」という空気が蔓延し、常識を打ち破ってきた新卒社長には物足りなくなります。

急速にいままでのやり方が通用しなくなり、結果として新卒社長は挫折するのです。

それは会社を売却するとか実務から引退するとか、さまざまな形であらわれます。

なかには、新たな居場所を求めて子会社をつくる、なんて人もいます。

つまり、新卒社長がアーティスティックに経営に従事したいなら、芸術家が芸術家のままに会社経営ができる規模を維持することが大切なんだろうと思います。

もちろん、企業規模が大きくなっても挫折しない新卒社長もいらっしゃいます。そういう方は経営拡大そのもの、膨大な会社実務がお好きなのかもしれません。


東京と京都が新卒社長多発地帯?

社長にお目にかかる場所がほぼ東京都内なので、あくまでも私個人のなかでの数少ないサンプルからですが、新卒社長の出身は東京、京都に集中しています。

東京出身が5人、京都出身が3人、長崎が1人。

取材でお目にかかることがほとんどなので、今までに見たり聞いたりしたことがない何かを生み出している方々が多いです。

彼らは取材しようと思わせる何かをお持ちなんです。

もちろん、他の都道府県出身で新卒社長もいらっしゃると思うので、お知らせいただいたら取材させていただきます!


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