NHK 未解決事件「File.5 ロッキード事件」



NHKで放映された未解決事件「File.5 ロッキード事件」第1部から第3部まで観ました。



実録ドラマで再現されたロッキード事件。

空前の田中角栄ブームが背景にあるからかと思ったら、なんと40年経って、いまだ存命の関係者の証言とアメリカに残る文書などから、ロッキード事件の真相を描き出すというもの。

放映は次のとおりで、BSで再放送が決まっています。

<NHKスペシャル 版>
7月23日(土)[総合]後7:30~8:43 「第1部 実録ドラマ 前編」
7月23日(土)[総合]後9:00~9:58 「第2部 実録ドラマ 後編」
7月24日(日)[総合]後9:00~9:58 「第3部 日米の巨大な闇 40年目のスクープ」

<BS1スペシャル 版>
9月24日(土)[BS1]後7:00~7:55 前編
9月24日(土)[BS1]後8:00~8:55 後編

正直なところ、実録ドラマの前後編は、いわば事件の概要をおさらいするためのもので、第3部が本命です。

田中角栄元首相が5億円を受け取ったことは本当らしいのですが、その目的は当時語られていたものとは異なります。そもそも5億円の献金をするように提案したのは丸紅の担当者で、経営不振に陥っていたロッキードがその要請に応じました。

また、全日空機の導入のため、という理由は表向きで、実際には、国産化計画が進んでいたP3C 哨戒機(潜水艦を見つけるためのもの)を白紙にし、アメリカから買い入れることが本命でした。

元大蔵官僚だった政治家も登場し、大蔵省は金がかかりすぎるという理由から国産化に反対していた事実を証言しています。

田中角栄とニクソン大統領とのハワイ会談が1972年8月31日、9月1日の二日間行われていますが、この時の公式のテーマは、中国問題と貿易不均衡と言われています。

しかし、このときの米側スタッフのひとりは、ニクソンとキッシンジャーはP3C 哨戒機の売り込みの打合せしかしていなかった、と証言しています。

米国にとって、軍用機を日本に売ることは、販売単価の大きさとその後のメンテナンス料金など巨額になりますから、貿易不均衡の是正措置に変わりはありません。

そして、田中角栄とニクソン大統領とのハワイ会談直後に、P3Cの国産化計画が白紙になります。

当時、海自で国産化計画を担当されていた方は、防衛長官の決定で白紙となるはずはなく、もっと上のほうの決断に違いない、と証言していました。

ロッキード事件の発覚当時、わたしはニュースなど見ていませんから、今回の実録ドラマと新証言はとても新鮮でした。


ご覧になっていないかたは、BS1での再放送をぜひご覧になってください。



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