【阿部 智里】 「空棺の烏」




阿部 智里 八咫烏シリーズ第四作「空棺の烏」読了。

あ~、読んじゃった~。
現時点で読める最後の作品です~。


空棺の烏

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本作は、雪哉が、山内衆と呼ばれる宗家の近衛兵育成機関の学校を舞台にしたもの。
いわゆる学園ものです。

ファンタジーで学園ものといえば、ハリー・ポッター シリーズ です。



本作でも、これは例のチェスシーンでは?と思わせてくれる”兵術”の授業があります。
授業なので審判がいたりして様相は違いますが、とっても似てるように思いました。


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そして、卒業の最終試験がこの”兵術”であり、それが空棺の謎につながっていく、という物語です。

本作では、”日嗣の御子”が真の金烏として不完全である、という重大な問題が明らかになり、それは、前の真の金烏が行方不明になっていることと関係がありそう・・・、なんです。


阿部 智里 という作家は、読後に毎回異なるイメージを、読者に与えてくれるのかもしれません。

第一作は、まるで明智小五郎が登場するような終盤でしたし、第二作は心理描写に重きをおいた拍子抜けするような終わり方。

第三作は、ファンタジーノベルとして、謎を残したままに終わっています。
そして、本作は、タイトルの空棺問題は最初に提示されたままに、雪哉と友人たちの青春群像が語られていきます。
そして、最後の最後になって、空棺問題へと一気に集約されていくのです。

本作は、
ハリー・ポッター シリーズ の展開と終わり方に、本当によく似ています。


しかも、もはや主役は近習の雪哉ではないのか、という感じです。

第二作に登場して以来、まるで雪哉の成長物語のようです。
本作では、学園の三年間で、ようやく”日嗣の御子”を補佐できるまでになります。

それだけ人が悪くなった、ということですけどね。
政治の裏面で活躍できるってことですから。

本作で、やっと信頼できる山内衆を従えることができるようになった、真の金烏である”日嗣の御子”の次回の活躍が、本当に待ち遠しいです。


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