【一田 和樹】 「サイバーセキュリティ読本」



サイバーセキュリティ読本」読了。

出版社が、自社のセキュリティを検討する、という設定から、新しいビジネス展開のテーマとしてサイバーセキュリティを採用していく、という物語仕立ての、サイバーセキュリティマニュアルです。

取りあげられていることは、知っている人は知っている、という内容ですが、なぜそうなのか?ということを、登場人物がくわしく解説してくれるので、わかりやすく読みやすいです。


ちょうど本書を読んでいる最中に、一田作品では何度も登場してくるアノニマス(ハッカー集団)が、イスラム国のあらゆるプロパガンダ装置(つまりWebとかSNSとか)を破壊する、というステートメント動画が公表されたりして、本書の後半の『「太陽を盗んだ男」から「日常戦争」』以降が、やけにリアルでした。

アノニマスの動画
http://youtu.be/K-LHFdbcpIM



私自身は、個人情報は漏えいしてるし、調べようと思えば調べられる、と思って生活していますが、そうでない方はぜひ本書をお読みいただきたいと思います。


さて、本書で絶対に読むべきは、各種のコラムです。
特に下記は必読でしょう。


リアルを侵食する3Dプリンタ

私にとって、3Dプリンタは、まだ手に取ってみたことはないけど、今一番欲しいものです。
もっと安くて小さくなったら購入したいのですが、このコラムでは、その危険性にも触れています。

銃を作って動画アップしていた人もいるくらいですので、実際に、使い方次第では危険なものなんだと思いますが、私は有益性の方が上回っていると思いますので、今後は普及していくんでしょう。

私がゲーム会社のPR担当なら、2Dキャラの3Dデータあげます、みたいなキャンペーンを展開しますね。もちろん、お手頃3Dプリンタメーカーと一緒に。


「約束を守らないヒーロー」アノニマス

さきほど書いたアノニマスに関する「We Are Anonymous: Inside the Hacker World of LulzSec, Anonymous, and the Global Cyber Insurgency」というドキュメント本を紹介しています。

今調べたら、堀江 貴文 氏による「我々はアノニマス 天才ハッカー集団の正体とサイバー攻撃の内幕 」という翻訳本が出てました。

著者は、英文で読んでいらっしゃるようですので、気になる方は、著者自身の読書備忘録をご覧ください。
http://matome.naver.jp/odai/2134255652742839701


サイバーセキュリティは軍事問題

このコラムは、今後のニュース番組が刷新されるかもしれないテーマだと思いました。
つまり、戦争というのは国家が宣戦布告しないといけないわけですが、サイバー戦争だと、そういう必要がなくなるわけで・・・。

著者も次のように指摘しています。

・交戦状態にない相手を予告なく攻撃可能
・匿名攻撃が可能
・先制攻撃絶対有利
・抑止力の概念の崩壊
・軽い負担(予算と人命)

ほとんどの日本人は知らなかった、イスラエルと米国の共同作戦「オリンピックゲーム」という、イランの核開発攻撃、先に紹介したアノニマスのイスラム国攻撃など、サイバー戦争が始まっているのです。


そして、「あとがきにかえて」は必読です。
サイバーセキュリティは十分知ってます、という方には、ここだけ読んでいただきたいくらいに、示唆に富んでいます。

混迷する現代社会に生きているという自覚を持っている方には、ぜひとも手に取っていただきたい書籍です。


サイバーセキュリティ読本

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我々はアノニマス 天才ハッカー集団の正体とサイバー攻撃の内幕

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