「箱庭図書館 (集英社文庫)
年末の東京駅で、めずらしくもKIOSKで購入した文庫本でした。作者の「乙 一」という名前が珍しくて手にしました。
全く情報がないままに、新幹線の車中で読み始めたのですが、どんどん引き込まれていきます。
短編集ではありますが、それぞれの物語は場所や人間関係などでつながっていて、不思議な魅力にあふれていました。
作家になった理由が、同級生を見返すこと、とか、周囲になじめない痛い高校生とか、思春期の中高生から大学生に、ぜひ手に取ってほしいと思います。
最後に収録された「ホワイト・ステップ」は、パラレル・ワールドの話です。まるで「ウルトラQ」みたい、と思いながら読みました。
詳しく書いてしまうと読む楽しみが減るので、ここでは書きません。
私は、作品を読んでからあとがきなどを読むタイプです。
ここから先は、あとがきを読んで仕入れた情報です。
本書の特徴は、オリジナル作品を著者がリメイクした作品である、ということ。
Web上で、投稿とリメイク作品が読めるようになっていたのだそうです。
オツイチ小説再生工場
http://blog.shueisha.net/otsuichi/
こういう試みがあったことすら知りませんでした!
なんだか、小説の世界は、いろいろと拡大しているみたいですね。
ちなみに、解説によると、乙 一 氏は理系のご出身だとか。
東野圭吾さんと同じですね。
理系な作家の書く小説には、まるで電子回路のように入り乱れたエピソードのどれもが重要な何か、であることが多いので、その仕掛けを読み取るのが楽しい、という印象を持っています。
本書は、傷つきやすい少年少女がたくさん登場しますが、繊細な年代を多く扱うのも理系作家によく見られる傾向のような気がします。
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