香港で個人年金として保険契約することの意味

私は、2011年に、東京法人の親会社として香港法人を設立しました。

その後、香港中文大学の卒業生を採用することになり、香港の人事・労務関係の勉強をしました。
幸い、香港では著名な、その種のコンサルタント会社とめぐり合うことができ、就業規則から、労務管理の書類など、すべて準備していただけました。

それらの事務手続きのひとつに、従業員への強制年金(MPF)という制度があることを知りました。

香港は、99年間、イギリスの植民地のような状態にあったため、香港人の労働者としての権利整備ができていません。
近年になって、労働者保護に関する法律が整いつつある状況です。
そのひとつがMPFなのです。

MPFは、従業員と会社が、同じく負担する401K型年金制度です。

つまり、保険会社と会社が契約し、従業員のためのMPF口座を開設します。このとき、従業員も保険会社と個別契約します。当社の場合、マニュライフと契約しました。

毎月の指定日までに、従業員の給与から差し引いた、従業員負担分のMPFと会社負担分を合算した金額を保険会社に申告すると、会社の口座からMPFの積立金額が引き落とされます。

この制度は、とても厳しくて、手続きを忘れて放置しておくと罰則があります。
また、遅れて納付する場合にも、各種ドキュメントが必要な為、手間がかかります。
毎月確実に申告しなければならないため、会社としては結構手間がかかります。

しかし、従業員の立場からすると、政府が会社の動向をチェックしてくれるという安心感があるほか、個人口座ごとにMPFの積立金が入金されているかどうか、がわかります。

積立金額には上限が設定されているため、高額な給与を払っているから会社の負担が増すかというと、実はそうでもありません。
この辺が、日本の制度との大きな違いです。

また、MPFは個人の裁量によって、運用先(ファンド)を選択できます。
自分のお金ですから、皆、MPFのチェックは厳しいのです。


今年1月、個人年金として、MPFとは別に、投資型保険の契約をしました。
スタンダードライフの101です。聞くところによると、このタイプは、今年いっぱいで募集を止めるかもしれないそうです。気になっている方は、早めに行動に移したほうが良さそうです。


なぜ、保険契約をしたのか、といえば、それは日本政府が信用できないからです。
仮に、日本政府が頑張ってくれたとしても、予備として自分の資産を海外に置いておくメリットは大きいため、でもあります。


保険契約して、いろんなことがわかりました。

MPFに加入していたので、仕組みはすぐに理解できましたが、IFAという投資コンサルが、契約者の意向に沿った運用をしてくれる、という点が優れていると感じました。

保険契約は、直接スタンダードライフ社と行うのですが、その入り口として各種サービスを提供してくれるのがIFAです。

たとえば、契約者からの問合せ対応はすべてIFAが行います。
また、IFAによっては、世界の注目マーケットを解説したレターを送ってくれます。
さらに、運用報告では、3種類の投資姿勢(積極的とか資産保全優先とか)に応じた投資を行っていることを、レターでもWebでも、確認できるようになっています。

世界中のファンドに投資しているため、ときには、日本の銘柄も出てきます。
最近、私あての報告書では、日本の中小企業向けファンドの売買が記載されていました。

投資型保険なので、時には損もしますが、年間利回りはかなり高いです。
複利ということもあり、長期契約が向いているといえます。

たとえば、若いうちに加入して、15年とか20年の契約にすると、結構な財産ができると思います。
もちろん、毎月の積立額によりますが。
クレジットカード決済が可能なので、手元資金が薄い、という方でも大丈夫です。

ただし、香港に行かないと契約できないという難点もありますので、注意が必要です。






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