【菅野 武】 「寄り添い支える」


2011年、雑誌タイムが選ぶ100人に選出された、菅野 武 医師の「寄り添い支える―公立志津川病院若き内科医の3・11 (河北選書)」を読了。

実は、6月14日に伊藤忠テクノロジーベンチャーズの年次総会の講演会に招待されて、菅野医師の話を聞きました。

その際、著書があり、一部寄付されるということで、会場で購入しました。


ついでにサインとかもらったり、名刺交換もしていただきました。


遠すぎてイマイチ

菅野先生は、あの東日本大震災のとき、南三陸町の病院で勤務しておられ、津波が荒れ狂う中、高齢の患者さんたちを救うために、大変な経験をした方です。


テレビで、自衛隊のヘリで病院屋上から、人々が搬送される映像をご記憶の方も多いことでしょう。
その病院です。


医師という立場から、あの震災の一部始終を見て、聞いて、体験した、そのドキュメンタリーが本書です。

ですが、ビジネスパーソンにとっても、非常に有意義な著作と思います。


だからITVの年次総会の講演者として選ばれたのだろうと想像します。


その理由として以下があげられると思います。

1.全体を通して客観的な記述が多く、科学者的視点に立っていること。

2.震災直後から、世界中からやってくる医師団やボランティアの方々を合理的に配置できるように、マネジメント(統括本部)を立ち上げたこと。

3.支援チームの縮小と撤退、支援バブルのなか、かまわれることに患者をなれさせない、など早期にビジョンを描いていること。

4.今後の災害発生時に対するポジティブな対策提案が多岐にわたってあること。


本書を読んでいると、菅野医師が体験したことが我が身に迫ってきます。


私は、時折涙しながら、本書を読了しました。


このような体験をしながらも、菅野医師が前を向いて歩いてこられたことにも、理由があるように感じました。
それは、祖母の死をきっかけに、医師になる、という強い決意をしたことです。

しかも、医師不足の自治体で医師として活動することを義務付けられ、直す医療ではなく、高齢化した患者に寄りそうことの重要性を認識していたことが、菅野医師が、震災直後の混乱の中、確信をもって、医療に取り組めた理由ではないかと思いました。


また、タイムのレセプションのため、急きょニューヨークに行き、海外メディアに対して震災直後の日本のことを、被災者でもある菅野医師が、自らの言葉で説明できたことは、その後も大きな影響力を与えたことでしょう。

出版されて2年近くが経ちますが、ぜひ手に取って、改めて、あの震災を現実を確認していただきたいと思います。




寄り添い支える―公立志津川病院若き内科医の3・11 (河北選書)

菅野 武 河北新報社 2011-12
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