【池澤 夏樹】 「ぼくたちが聖書について知りたかったこと」

ぼくたちが聖書について知りたかったこと (小学館文庫)」を読了。

ヘブライ語や古代イスラエル宗教史の研究をしている秋吉輝雄氏ととの対談集です。

年末にいただいた文庫ですが、出張の折に少しずつ読みました。

旧約聖書と新約聖書の違い、ユダヤ人の定義など、日本人にはなかなか理解できない事柄について、対談形式で解説がなされていきます。

読んでいて、おもしろいな、と思ったのは、ヘブライ語には時制、つまり、現在・過去・未来、がないということ。

これが、イスラム世界においては現在まで続いていて、数千年前の生活と21世紀が混在しているのではないか、という考察です。

ユダヤ教の特殊性を形作っているものとして、神との契約がありますが、コーシャに代表されるように食べ物の一つ一つに厳しく理由があって決まっています。

この厳格な契約が、選民思想になり(つまり神と契約しているから)、もしかすると、一神教ってかっこいい、というイメージ作りに一役買っていると思いました。

ユダヤ教は、キリスト教、イスラム教の元となった宗教です。

キリスト教は、世界宗教に成長する過程で、土地土地の原始的な神々を吸収していったと言われます。聖人になった場合もあります。

原始的な宗教では、日本のような八百万の神状態が普通です。
ギリシャ神話がその代表例と言えます。

つまり、そもそも一神教だったのはユダヤ教だけであり、その特殊性ゆえに世界に広まっていった、ということなのではないか、と思いました。

しかも、ユダヤ教は布教を行ったり、信者獲得を行わない宗教なのだそうです。
この閉鎖性も、一神教ってかっこいい、に拍車をかけたなじゃないか、と。


日本人は宗教を軽んじがちですが、今や宗教の本質を知らずして世界情勢を読むことはできません。

本書は、ビジネスマンこそ手に取るべき一冊だと思います。


ぼくたちが聖書について知りたかったこと (小学館文庫)

池澤 夏樹 小学館 2012-12-06
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by ヨメレバ