男女逆転版の「大奥」の不合理

コミックの存在を知らず、二宮和也主演の映画「大奥」を公開当時に観ましたが、男女逆転するという設定はすごく斬新で面白い、と思いました。

が、しかし。

大奥というのは、種をばらまく将軍と、その畑となるお中臈たち(女性群)、という関係であり、将軍の後継者を絶やさないことを目的としています。

ちょっと考えればわかりますが、将軍が女性(つまり畑)で、お中臈が男、というのは合理的に考えてありえないわけです。
仮に将軍が妊娠したとして、妊娠期間の10か月間は、お中臈(男たち)は何もすることがありません。

これって、無駄ですよね。
そもそも後継者を大増産しようというのが大奥の目的のはずなので。

つまり、コミックとしての設定はおもしろいけれど、本来の目的から逸脱しているのが、男女逆転版の「大奥」の弱点ではないかと思います。

現在、ドラマ版が堺 正人主演でオンエアされていますが、本来の歴史との一致点をストーリーに盛り込むためには、同時進行で妊娠・出産があったような将軍はダメだろうな、とか考えながら観ています。

二宮版映画は、8代吉宗、現在オンエア中の堺版ドラマは3代家光、ドラマの後に公開されるのが5代綱吉となっています。
これらの将軍の側室等は、同時進行で妊娠・出産がなかったんでしょうか。
それとも、そういう細かいことは無視して制作しているんでしょうかね?
ドラマを見るたびに、すごく気になります。

それにしても、男女逆転というのは古典的ですが、設定としても面白いです。
大奥に限らず、歴史上のあちこちで使えそうです。
たとえば、古代ローマ時代を男女逆転で読み直すとか。
ユリウス・カエサルが女っていうのも、面白いかもしれません。



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