中学でのダンス授業必修化に思うこと

今年から、中学校ではダンスが必修になりました。
文科省の関連Webサイトでは、次のように説明されています。
平成20年3月に改訂した中学校学習指導要領において、保健体育では生涯にわたる豊かなスポーツライフの実現に向けて、小学校から高等学校までの12年間を見通して、各種の運動の基礎を培う時期、多くの領域の学習を経験する時期、卒業後に少なくとも一つの運動やスポーツを継続することができるようにする時期といった発達の段階のまとまりを踏まえた系統性のある改善を図りました。
このことを受け、中学校において、第1学年で従前「武道」又は「ダンス」のいずれかを選択とし、それ以外の領域を必修としていたことを改め、小学校高学年との接続を踏まえ、多くの領域の学習を十分させた上で、その学習体験をもとに自ら探求したい運動を選択できるようにするため、第1学年及び第2学年で、すべての領域を履修させるとともに、選択の開始時期を第3学年としました。この改訂の趣旨を踏まえ、平成24年度から必修となる「ダンス」が円滑に実施されるよう、中学校保健体育科教員向けのリーフレットを作成しました。

ダンスといっても、創作ダンス、フォークダンス、現代的なリズムのダンスの3分野なんです、やるのは。

実は私は、高校時代の体育の先生に新体操出身の方がいたため、創作ダンス経験があります。
はっきり言って、何のためにこんなことやるんだろう、という悪い記憶しかありません。

理由はいくつかあります。

1.ダンスの基礎がない。つまり筋肉の動かし方を理論的、実践的に説明し、それを生徒に教えることができていない。少なくとも私には、そういう教育を受けた記憶がありません。

2.創作ダンスの創作メソッドを教えられていない。少なくとも私には、そういう教育を受けた記憶がありません。

3.たぶん不細工だろうことがわかっている自らのダンスを、みんなの前で発表すること(これがテストでした)の精神的ストレス。なんせ、花も恥じらう年代です。


必修化されたダンスが、教育メソッドも洗練されているバレエやボールルームダンスであるならば、目くじらを立てる必要もないと思います。専門家を呼んで、やるだけなので。
筋肉を動かすこと、体幹を整えることが健康的な肉体を作ること、などを教えるのは、一般の中学教師でも可能なので、英語の授業のような2人体制をとればできると思います。

しかし、創作ダンス、フォークダンス、現代的なリズムのダンスについて、理論面、実践面における教育メソッドがあるとは、到底思えません。

一方で、ボールルームダンスは、文科省以外の省が管轄する団体が乱立しているので、文科省の省益につながらないのではないか、と考えることもできます。バレエにいたっては、日本を越えて海外ですから、何の得にもなりません。

そして、さらに文科省のWebサイトを見ると、武道とダンスが選択必修として始まったのが平成20年度以降ということがわかります。

文部科学省では、平成20年3月28日に中学校学習指導要領の改訂を告示し、新学習指導要領では中学校保健体育において、武道・ダンスを含めたすべての領域を必修とすることとしました。
武道は、武技、武術などから発生した我が国固有の文化であり、相手の動きに応じて、基本動作や基本となる技を身に付け、相手を攻撃したり相手の技を防御したりすることによって、勝敗を競い合う楽しさや喜びを味わうことができる運動です。また、武道に積極的に取り組むことを通して、武道の伝統的な考え方を理解し、相手を尊重して練習や試合ができるようにすることを重視する運動です。
ダンスは、「創作ダンス」、「フォークダンス」、「現代的なリズムのダンス」で構成され、イメージをとらえた表現や踊りを通した交流を通して仲間とのコミュニケーションを豊かにすることを重視する運動で、仲間とともに感じを込めて踊ったり、イメージをとらえて自己を表現したりすることに楽しさや喜びを味わうことのできる運動です。



裏読みすると、文科省の天下り先だった大学が、少子化で閉鎖するところも出てきたので、物販がともなうカリキュラムを必修にしました、ということではないでしょうか。

子供向けのダンス、特にヒップホップ系のダンスシューズとウェア、グッズは伸び盛りと聞いています。ということは、そういうメーカーに天下りを目論んでいるんだろうなぁ、と想像します。

私は、国がこういうことをすると、ダンスを毛嫌いする人達が増えてくるだろうと思うのです。中学時代の嫌な経験、と考える人たちが増えれば当然そうなります。

そうなったら、今は自由に、好きでやっている人たちすら減ってくるのではないか、とさえ思います。

今までの悪行も含め、文科省は必要性のない省なので、はやく無くなってほしいです。



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