イノベーションのジレンマ


イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき (Harvard business school press) 」を読了。大学への行き帰りにしか目を通せなかったので、都合1ヶ月以上もかかって読み終わりました。しかし面白くないわけではありません。むしろその逆で、眠気が覚めるほどの興奮をもたらしました。

そこでここでは、読んでいて気になった内容を紹介しておこうと思います。

問題に対する一般的な解決策として、これまで以上に綿密に計画し、一生懸命に努力し、顧客の意見を受け入れ、長期的な視点に立つことは、すべて問題を悪化させることになる。安定した実行力、商品化のスピード、総合的な品質管理、プロセス・リエンジニアリングも悪影響を与える。

脅威的な破壊的技術に直面したとき、主流組織の人とプロセスでは、小規模な新しい市場で強力な地位を開拓するために必要な財源と人材を自由に配分できないことである。(中略)破壊的技術の特徴である低い利益率を達成するためのコスト構造を持った独立組織を設立することが、実績ある企業がこの原則に調和する唯一の有効な手段である。

優良企業が成功するのは、顧客の声に鋭敏に耳を傾け、顧客の次世代の要望に応えるよう積極的に技術、製品、生産設備に投資するためだ。しかし、逆説的だが、その後優良企業が失敗するのも、同じ理由からだ。

優良企業が失敗する理由の一つとして、組織的な障害が問題の原因になると指摘される。(中略)たいていの製品開発組織は部品ごとにサブグループに分かれているため、企業の組織構造は、部品レベルのイノベーションを促すことが多い。製品の基本的なアーキテクチャーを変更する必要がなければ、このようなシステムは効果的である。しかし、アーキテクチャーの技術革新が必要な場合には、人々とグループが新たな方法でコミュニケーションをとり、連携して働く必要のあるイノベーションにとって、このような組織構造が妨げになるという。

人材の時間と会社の資金をどのように費やすべきかについて、何百という人々が、毎日微妙なものも明確なものも含め、何千という決定を下している。上層部が破壊的技術を追求しようと決めたとしても、それが、組織の構成員が考える組織としての成功、組織内の個人としての成功に結びつくモデルと一致しなければ、構成員が無視したり、しぶしぶ従うことになりやすい。

企業の行動の自由は、企業存続のために必要な資源を提供する社外の存在(主に顧客と投資家)のニーズを満たす範囲に限定される。特に、成功している企業では、経営陣の決定より、顧客重視の資源配分と意思決定プロセスのほうが、投資の方向を決めるうえではるかに強力な要因になるという点で一致する。(中略)すぐれた資源配分プロセスは、顧客が望まない案は排除するようにできている。

通常、上層部がどのプロジェクトに投資するかを決定するまでには、組織の下の階層のさまざまな人間が、どの種類のプロジェクト案をまとめて上層部の承認を求めるべきか、どの案はそのような努力に値しないかをすでに決定している。(中略)現場のマネージャーは、複数のプロジェクトや製品の間で人材、設備、ベンダーの取り合いが生じたときに、その優先順位を決定する。

エイモス・トバースキーとダニエル・カーネマンによれば、人びとは、自分の理解できない案は、そこに内在するリスクに関係なく「リスクが大きい」と判断し、理解できる案は、内在するリスクに関係なく「リスクが小さい」と判断する傾向があるという。

ある仕事を遂行する能力を定義するプロセスが、他の仕事については無能力を明らかにする。(中略)一貫性を保つため、プロセスは基本的に変化しない。変更が必要なときには、厳しく管理された手順にしたがって変更する。つまり、組織が生み出すメカニズムそのものが、本質的に、変化を拒むのである。

組織の能力が人材にあるうちは、新しい問題に対応するために変化することは、比較的簡単である。しかし、能力がプロセスや価値基準のなかに存在するようになり、それがさらに分化のなかに組み込まれると、変化はきわめて難しくなる。

プロセスと価値基準は、どのように資源を組み合わせて価値を生み出すかを決めるものであり、資源の多くは、購入や売却、雇用や解雇ができるものである。

破壊的技術を研究室で温め、主流市場に適したものになるまで育てようとする企業は、破壊的技術の特性を当初の状態のまま受け入れる市場を見つける企業のようには成功しない。

実績ある企業は、高性能、高収益の市場を追い求める傾向があるため、最初の破壊的製品に余計な機能を付けずにいることが難しい。


これらは、企業においてマネジメントを担当する者にとって、またアドバイスする立場にとって耳が痛い。
しかし、これらが事実であることもまた、多くの事例によって証明されています。
ホンダ、トヨタ、ソニーといった日本企業の事例も含まれ、経営者はぜひ手にとるべき1冊です。
またこれから起業しようという方にもお勧めです。